沖縄で合宿を行っている東京大学の野球部。この中に、東大野球部の歴史上、3人目となる沖縄出身の野球部員、新城世紀斗(しんじょう せきと)選手がいます。野球だけじゃない、東大野球部の文武両道の合宿を追いました。

アドバイスを送る野球部員「受験勉強って基本的に誰にとっても楽しくないもので多くの人にとって、この時期に何か頑張る経験をしておく。頑張りたいものが見つかったときに頑張れる、自分が納得いくぐらい頑張れる」

2月20日に首里高校を訪れたのは、東京大学野球部のメンバー。朝のショートホームルームの時間を使い、自らの経験をもとに、受験勉強のアドバイスを行います。

東大野球部の3年ぶりとなる沖縄合宿の中で、高校生との交流が行われています。

【質疑応答】
Q勉強していてつらい時期の乗り越え方は
A「勉強を始めるのが一番辛い、辛くてYoutubeとか逃げがちだったけど、最初5分だけやろうと思って単語帳5分開いたりすると、意外と30分くらいいけるものなので最初だけ頑張る5分だけ頑張ると意外と乗っていく」

春のリーグ戦へ向け、ピッチャーキャッチャーのバッテリーのみが参加をしている沖縄合宿。しかしこの時期は、プロ野球キャンプなどもあり球場の確保などが課題に。

そのため、東大では、高校生への講座などを行いながら、練習環境の協力を受け、合宿に臨んでいます。

新城世紀斗(開邦高校出身)「日差しがすごく強くて。でも気持ちいいです」

2年生の新城世紀斗さん。開邦高校出身で初めて地元での合宿に臨んでいます。

新城さん「すごくみんな明るくて色々な冗談も言い合う感じで、国立でありながら、強豪の野球のエリートたちと対戦出来るというのは、神宮と言うすごくきれいな球場で対戦できるというのは、やっぱり魅力ですよね」

100年以上の歴史を誇る東大野球部。しかし長年、沖縄県出身の部員は生まれませんでした。4年前に那覇国際高校出身の島袋祐奨さんが初めて入部を果たすと、そこから3年連続で県出身者が入部。3人目の野球部員となった新城さんは、去年の新人戦で、初めて神宮のマウンドにたちました。

新城さん「投げているときは神宮球場のど真ん中にいるというか、気持ちよさは最初に上ったときに感じましたね。東京六大学の慶應とか早稲田とかそういう人たちと本気の勝負できるのはすごく魅力だし、東大だけだと思いますね」

文武両道を地で行く東大野球部の練習もまた、工夫と自主性により成り立っています。この日は、コーチ・監督が不在の中、選手たちもそれぞれのペースで練習。限られた時間・環境の中で強豪大学と渡り合うため何より効率を重視しています。

新城さん「バッティングでもピッチングでもベクトルとか力学をもとに、なんのためにこの動きをしているのか、この練習をしているのか、体格や筋肉量とかはやはり今までの練習とかもあってどうしても劣るので、頭を使っていくのは必須」

一方で、練習の合間には専攻分野の資料を読みこむなど、東大生らしい勤勉な一面も。

将来は、学んでいる”シミュレーション”の知識を生かし、社会に還元できるシステム作りが出来ればと考えています。

新城さん「今は東京大学とソフトバンク、企業が一緒にやっているプログラムとかがあって未来のAI人材を育成するみたいな。興味、関心に従ってどこまでも進んでいく、どこまでも掘っていく感じなので楽しいですね。自分の性格に合っている感じです」

那覇市出身の新城さん。野球を始めたのは小学3年生の頃。当時から興味を持ったことには何事も一生懸命に取り組んできました。

開邦高校時代には、部員が足りず大会に連合チームで出場したことも。その時の経験も今につながっています。

新城さん「突然、同じチームになって一緒に戦って同じ目標を目指すというのは学生時代に中々できない経験になっています。色々な人と出会えて色々な考えを知れて周りの人に恵まれたと思う」

開邦高校を卒業後、1年の浪人生活を経て東京大学へ。目標としてきた東大のユニフォームに袖を通し、今なお部活と勉学に全力で取り組んでいる新城さん。どんなにハードでも、今しか経験できない文武両道の4年間は何より充実した時間となっています。

新城さん「まずはそこのリーグ戦で投げるっていうのは、一番近い目標ですね。勉強を頑張ることだけが偉いというのは、絶対違うと思っていて、頑張ったあとに得られるものとか、そういったものを伝えられる一人になって、後輩が何かを頑張るモチベーションに自分がなれると、本当に本望っていう感じ」

歴史ある、東大野球部の一員として。今できること、やりたいことを全力で―。新城さんは、さらなる可能性を信じて挑戦を続けています。