作品に影響を与えた"ひめゆり"の教師
戦場にいた一人ひとりの気持ちになりきって描く新里さん。その姿勢に、最も影響を与えたのが、仲宗根政善さん。ひめゆり学徒隊を引率し生き延びた教師です。
▼仲宗根政善さん(ひめゆり学徒隊を引率)
「体験というのは心の中に沈んでしまってね、固くなってしまって、言葉にしても文字にしても、非常にうつろな気がするんですよ。その一人ひとりがどういう思いで亡くなったかということを伝えることが、本当に沖縄戦を伝えることだと思います」
新里さんは、仲宗根さんの手記を何十回も読み、家を訪ねました。
▼漫画家 新里堅進さん(79)
「先生がこうおっしゃったんですよ。『もし君やるんだったら、後世に残るものを描きなさいよ』と言われたんですね、あの言葉がもう身に染みて。責任の重さと、いい加減には描けないなと肝に銘じたんですよ」
戦後生まれの新里さんが、半世紀にわたって描き続けてきた沖縄戦。体験していない戦争をどう語り継ぐか…その答えを、作品集が静かに問いかけています。
