4月、5月と相次いで発生した大型犬が飼い犬をかみ殺す事案。このうち愛犬のトイプードルを失った家族が、当時の様子を語りました。
今年4月、沖縄市で散歩中のトイプードルが、米軍属の家から逃げ出した大型犬にかみ殺されました。当時の様子を飼い主の男性が語りました。
▼飼い主の男性
「『殺されている』『食べられている』と、半狂乱なのでただ事じゃないのは分かりました」
散歩させていたのは男性の20代になる娘と、中学生の息子。取り乱した娘から電話を受け、現場に駆けつけると、変わり果てた愛犬の姿を目の当たりにしました。
「人間だったら救急車を呼んで、すぐ運ぶけどそうもいかない。息絶えているのはすぐ分かりました」
襲ったのは、トイプードルの10倍以上の重さがある大型犬。3~4人の男性に取り押さえられていたといいます。
150センチの高さまで襲いかかった大型犬 愛犬の10倍以上の大きさ
事件はどのようにして起きたのか、現場を案内してもらいました。近くには小中学校があり、登下校時は人通りが多い遊歩道。
「首を見たら、リードがついていない。こっちを向いて、愛犬にロックオンしたのに子どもたちは気づいたそうです」
愛犬を守るために、肩に抱きかかえた娘。大型犬は、150センチの高さまで飛びかかり、娘の腕の中にいた愛犬の首にかみつきました。
「相手の大型犬の首輪をつかんで、中学生の息子も犬を引っ張って、愛犬から離そうとしたそうです」
しかし、きょうだいの力では大型犬にかないませんでした。
愛犬を失った後 再びあの大型犬に遭遇 「わー」と叫んだ息子…
2日後、悲しみの中にいた家族は、大型犬と予期せぬ再会をします。塾に行くために車を降りた息子。目の前にいたのは、口輪をつけていないあの大型犬でした。当時、車にいた男性の妻が語りました。
「車から降りる瞬間に、息子がわーっと叫びました。普通そういうことがあったら、口輪をするよう注意があるらしいんですけど、口輪をすることもなく、普通に散歩していました」
▼飼い主の男性
「反省とか、どれだけのことが起きたとか、認識がないのかな。僕らがここで生活できなくなっちゃう。元に……戻れなくなっちゃう」
家族が負った心の傷は、深まりました。
「子どもたちも襲われているから、恐怖とかトラウマをもっている。近くを歩けなくなっているし、地域で日常生活が送れなくなっています」
事案の後、市と県の担当者は飼い主に直接会い、再発防止策として、大型犬を鎖でつなぐなどの指導をしました。
市は今後、飼い主が指導を守らなかった場合は条例に基づき、飼い主に対して、犬を手放す指示をする可能性もあるということです。
大型犬による被害の未然防止は、飼い主に委ねられています。