天ぷらから話はガラっと変わり…
訪ねたのは去年、カジマヤー(数え97歳の長寿)を迎えた嶺井シゲさんのご自宅。部屋には、嶺井家親族の大集合写真がいくつも飾られている。これは…?

嶺井シゲさん
「もうこれが楽しみで!」
「私兄弟が1人しか残ってなくてさみしいけど、このオリンピックを迎えるたびに、孫たちも子どもたちもいっぱい集まるんですよ。だからおばあは寂しくないから」
奥武島で4年に1度行われる“オリンピック”?
実は奥島島では、島唯一の運動場で、オリンピックと同じ年に4年に1度行われる一大イベントが行われる。「嶺井藤八・ウシ記念オリンピック」、通称・ミネリンピック。
参加する人たち全員が一門。「東徳前家」の門中(※血縁でつながる集団)という、親族による大運動会だ。

「ミネリンピック」が始まったのは、1996年。門中の中心だった嶺井藤八、ウシ夫妻の7人の子どもたちが、それぞれの家族の交流を図ろうと始めた。
今では、最年長となった三女のシゲさんが中心となり、数百人の大家族が関わるイベントに。コロナ禍により4年前の中止を挟み、今年は8年ぶりに大会が復活する。

嶺井シゲさんの甥・光さん(奥武区長)
「前回が東京オリンピックの時で、コロナで開催できなかったものだから、8年ぶりね。みんな“待ちかんてぃ”しているわけ」(※首を長くして待っている、の意)
嶺井シゲさん
「晴天で成功するように、私も朝晩祈っているんですよ」
これまでは旧盆時期に開催されていた「ミネリンピック」だが、今年は暑さ対策で10月の連休に開催予定。県外からも帰郷して参加する人もいて、今年は過去最多、350人の親族が大集合する予定だ。

嶺井シゲさん
「いつも、おばあ元気ですかと声をかけてくれるし、本当に嶺井家の身内、家族はとても仲が良いんですよ。本当にありがたくてね。これが、おばあの一番の誇りだね」
天ぷらの香り漂う、のどかな島を訪ねると、本物のオリンピックにも負けない熱気を見せる、親族の絆がありました。(取材 片野達朗)