【平】嬉野市では宿泊者一人当たりの消費実績単価の平均は、約1万7千円ですので、先ほどの企画で6千人が訪れるとなると、1億円を超える新たな消費が生まれることになります。
つまり投資額以上の効果が出ることになります。

【住】佐賀県内の自治体は、新幹線の開業をチャンスと捉え、これからの時代を生き残っていくために戦略を練り、具体的な取り組みも行っているのですね。

【平】因みに、全線フル規格が実現すると長崎・博多間は51分で結ばれるとのことですが、首都圏や関西では1時間以上かけて通勤・通学することは珍しくはありませんので、長崎県からの移住先上位の福岡県や佐賀県への流出を止める手立てになるかもしれません。

山口佐賀県知事「武雄温泉~新鳥栖間は “未着工”ではなく“未合意”区間」

【住】整備方式が固まっていない武雄温泉と新鳥栖区間。
佐賀県は開業から1年が経つ西九州新幹線について、どのように考えているのでしょうか?
佐賀県の山口知事に話を伺いました。

佐賀県 山口 祥義 知事:
「(この1年を振り返って)本当に多くのお客さんに来ていただいたと思っています。
特に佐賀県的に言うと、長崎のお客さんが増えたなっていうのが実感です。
ただですね、この新幹線の開業で江北~諫早間が非常に特急列車が大幅に減ったりということで、佐賀県の鹿島、太良地域は非常に痛手を負っています。
ですから、そういったことも含めてですね、これからみんなで盛り上がっていけるような形になっていけばいいなと思っています」

武雄温泉での乗換えなしで、博多まで乗り入れることが出来るフル規格の整備については──

佐賀県 山口 祥義 知事:
「(武雄温泉・新鳥栖間の整備は)フリーゲージトレインが開発できなくなりましたということで、じゃ、もう全部フル規格で繋いじゃおうって、そういう話が出てきたわけですよね。
でもそうなると僕らにとって、とても大事な在来線というのが危うくなるし、そもそも、その財政負担というのは、僕らが長崎県さんの倍以上を払うっていうことになるわけなんですね。
これはどうかなって思うわけです。

巷で“未着工区間”って言われてますけど、僕らは “未合意区間”だと思ってます。
何も着工することに合意はないので、あくまで佐賀と長崎で合意してない区間です、ということをわかっていただけるとありがたいなと思います。
ですので、あんまり国に訴えるっていうことではなくて、むしろ佐賀県と向き合っていただきたいなと、長崎の皆さんにお伝えしたいです」

【住】武雄温泉・新鳥栖間の “フル規格での整備”は、現状では佐賀県の同意を得ることは厳しそうですね。
【平】そうですね。これまでも、官・民の双方のレベルで佐賀県との対話はなされてきていますが、「佐賀県と向き合っていただきたい」という山口佐賀県知事の発言をどう受け止めるのかですね。