職場で障がい者を支えるはずの「使用者」による虐待が報告されています。厚生労働省のまとめでは2024年度、全国で通報・届出のあった事業所数は1500件超と過去5年で最多となりました。背景には人手不足や知識不足の指摘も―。長崎では暴行事件も起きています。

厚生労働省の調査によると、使用者による障がい者の虐待について、通報・届出のあった事業所数は2024年度1,593にのぼり、前年度から5.4%増加、過去5年間で最多となりました。

実際に虐待が認められた434事業所のうち、業種別で最も多かったのは「医療、福祉」で、全体の26.3%(114事業所)を占めました。次いで「製造業」(21.4%)、「卸売業、小売業」(12.4%)となっています。

認定された虐待の内容で最も多かったのは、賃金や財産を不当に扱う「経済的虐待」で、85.0%(584人)に上り次いで「心理的虐待」(9.8%)、暴行などの「身体的虐待」(3.1%)となっています。

虐待が最多となった「医療・福祉」の現場では、長崎市でも深刻な事件が起きています。

今年、障がい者通所施設で生活支援員として働いていた元職員の男が、知的障害のある利用者に対し「反応が面白かった」という身勝手な動機から暴行を繰り返していたことが明らかになりました。

男は、障がい者サポートの経験がない中、ハローワークでこの仕事を見つけ就職していました。

虐待が増加している背景には、専門的な知識や適性、体力も求められる「サポート環境」整備の難しさもあると考えられます。

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