■ コロナ禍で独り暮らしの高齢者が孤立

2人の文通は、地域のアイディアで始まりました。

高齢者の生活面の相談を受け付ける山澄地域包括支援センター。
コロナによって、一人暮らしのお年寄りは孤立していました。

佐世保市 山澄地域包括支援センター 村岡 佳祐さん:
「人に会うな、話すなっていう時期でしたので、誰とも関わらなくなって。時々電話をしたら、『もうほんと、久々に喋ったよ』みたいな」

以前から関りのあった子ども食堂などを運営する数山 有里さんに相談したところ、出てきたのが『お年寄りと小学生を文通で結ぶ』アイディアでした。
支援センターでは高齢者、子ども食堂ではこどもたちに、それぞれ『文通をしてみませんか』と声をかけ、馬場さんと優梨花さんとの繋がりが生まれました。


親子いこいの広場 もくもく 数山 有里 代表:
「高齢者の方たちには、昔当たり前のツールだったこと。子どもたちにとっては、それはすごく斬新で新しいこと(だった)」
村岡さん:「なんて面白いんだ!と思いました」
数山さん:「もう、すぐ、やろう!ってなりました」

こうして、おととし7月に始まった馬場さんと優梨花さんの文通。

優梨花さんからの最初の手紙:
『わたしのなまえは、もとむらゆりかです。すきなたべものは、さらだです』

馬場さんへきた初めての手紙です。
馬場さんも、好きな食べ物はサラダでした。

馬場さんから優梨花さんへの最初の手紙:
『はじめましてわたしのなまえは、ばばひろこ。すきなたべものは、わたしもサラダ』

優梨花さん「馬場さんとなんか気が合いそうな気がして」


優梨花さんからの手紙:
『ばばひろこさん うんどうかいで かけっこで 2ばんになりました。おどりもがんばりました』

馬場さんからの手紙:
『うんどうかい がんばりましたね わたしは おてがみをよんでいて おもわず はくしゅをしましたよ』

優梨花さんからの手紙:
『ドッヂボールでは キャッチとなげるのが うまくできるようになってきました』

馬場さんからの手紙:
『わたしも しょうがくせいのころは みんなでよくやりました でも私はうけるのがへた、人にあてるのもへたでした じぶんがつよく当てられたら いたいから、人にもつよく当てるのが きのどく、みたいな きもちになってしまって。』


馬場さん「ドッジボールのことなんか、もう89歳にもなると思い出しもしないんだけれども、優梨花さんと文通することで、昔のこんな "小さかった浩子ちゃんの1ページ" をね、思い出すことができて…」