耐震化は自腹…

では、ビルの耐震化をどう進めていけばいいのか…
旧耐震基準のビルオーナーたちを取材すると、こんな意見が聞かれた。

「テナントが入っているので、工事のために営業を止められない」
「前は事務所に貸していたが、今は自分の店舗と住宅だけなので莫大な費用はかけられない」


一般的なビルの耐震診断にかかる費用は、数百万から数千万、さらに、補強工事は、億単位の費用がかかることもあるという。

しかし、耐震改修で、国や自治体の補助を受けられる対象は、「多数の人が利用する1000㎡以上の建築物」などに限られる。


これにあてはまらない建物は…

(記者)
「耐震化をしようと思ったら全部自費になってしまう?」
(宮崎県建築住宅課・建築指導担当 畑中喜一郎さん)
「そうですね、今の状況でいうと自費になってしまいます」


(ビルオーナー 冨山泰正さん)
「今、現状で何もできない人たちがいる、小さい地主さんとか老朽化した建物をお持ちの方とか。その方たちをどうするのか。行政と一緒になってどう処理していく、更新していくのかが問題だと思うので、一軒一軒では、まず、難しい話なのかなと思う」

あらゆる力を結集して何としても耐震化は進めないと

近い将来、発生が懸念される南海トラフ巨大地震では、最大震度7の揺れが想定される県内。
専門家は、ビルの耐震化を進める重要性を次のように指摘する。


(名古屋大学 福和伸夫名誉教授)
「もっとビルをしっかりと安全にするために行政に頑張ってもらいたいという声が上がらないと、行政も財政的にも厳しい状況にあるので、こうういった施策は動きにくいと思う。建物が壊れたら社会は成り立たない。ですから、あらゆる力を結集して何としても耐震化は進めないといけない。我が事であると感じてもらうことが何よりも大事なのではないか」

(スタジオ)
1981年5月末まで適用されていた「旧耐震基準」では、震度5強程度の揺れでも倒壊しないことが条件で、震度6以上に関しては特に規定がありませんでした。
まずは、どの程度リスクがあるのか、耐震診断をしてほしいのですが、これは行政が民間と二人三脚でやらなければ、前に進まないのではないでしょうか?

※MRTテレビ「Check!」3月8日(水)放送 「Check!調査班」から