長年、生産者がコツコツ作ってきた味がなくなる なんとかならないか

宮崎市田野町にある「田野物産センターみちくさ」。

売り場には、地元の農家や個人が手作りした高菜やキュウリの漬物などがずらりと並び、店の人気商品の一つとなっています。

物産センターに、開業当時から20年以上にわたって手作りの漬物を出荷している児玉ムツコさん(78歳)。

(児玉ムツコさん・78歳)
「今、時期として、高菜が多いんですね。その日によって、3品くらいずつ毎日、出すようにしてます」


毎日出荷し、その日のうちに売り切れてしまうという児玉さんの漬物。
しかし、児玉さんは今回の食品衛生法の改正をきっかけに、漬物の製造を来月をもってやめることを決めました。

漬物の販売を続けるためには、自己負担で、設備の改修を行う必要があるからです。


(児玉ムツコさん・78歳)
「健康状態も考えまして、ここ辺が限度じゃないかなって思っているんです。毎朝来るのが楽しみで、来てみると棚が空になってるから、残っていても、ぽつぽつというくらいでしょ。頑張ることができるお店でしたよ」


(田野物産センター 柿内勝美さん・65歳)
「まだ、もうちょっとあるけど、長い間ご苦労さまでした」
(児玉ムツコさん・78歳)
「ありがとうございます」


児玉さんの漬物をよく買っていたという常連客は…

(来店客)
「おいしいですよ、このおばちゃんのはね。昔の人はやっぱり漬物がないと、ご飯が食べられないもんね。ほんとさみしいですよね」


物産センターの担当者によりますと、法改正をきっかけに漬物の製造・販売をやめる人は児玉さん以外にもいるということです。

(田野物産センターみちくさ 柿内勝美さん・65歳)
「年齢的に高齢の方が多く、今からお金があんまりかけられないということで、うちでも2、3人の方が今回でやめられるっていうことになっています。長年、生産者の方がコツコツ作ってきた味がなくなるということで、物産センターとしては残念で、なんとかならないかという気持ちでいっぱいです」