歌手の「歌わせていただきます」は…?
例えば、「本日は休業します」に対する「休業させていただきます」 、 「それでは私が解説いたします」に対する「~ 解説させていただきます 」 のような例を考えてみると、 「本日は休業させていただきます 」の例で は、休業することで店側は別の用事をすますことが出来る恩恵がありますが、相手の許可は必要ない 「それでは 私が解説 させていただきます 」の例も、私が解説をするのに相手の許可は必要なく、相手から恩恵も与えられていないので 、これも適切な使用とは言えない…、 そんな風に感じる人がいるわけです。

また、歌番組に出演した歌手が「では、歌わせていただきます」のように言って歌い始めるのを聞くと、出演を依頼されたのにそこまでへりくだった言い方は必要ないのではと思うことがあります。
「慇懃無礼」という言葉がありますが、そこまでへりくだった言い方をする必要が無いだだろうという場面で使われる「~させていただく」は、かえって「嫌みで冗長で押しつけがましい」感じさえ受けるのです。
では、なぜ近年、「~させていただく」という言い方の使用が拡大しているのでしょうか。
国語辞典では、「相手の許しを得て行う自分の動作を謙遜する時に使われる」、「戦戦後、一般に広がった」と説明しているものありますから、戦後一般化した表現のようです。さらに、次のようなことが関わっていると考えると考えられます。