いち早く対応できた企業 そのカギは…

一方でいち早く2024年問題に対応している運送会社もあります。金沢市にある野々市運輸機工もそのひとつです。

金沢市の野々市運輸機工は2024年問題への対応策を実行している企業のひとつ

野々市運輸機工 吉田章社長
「もともとの決まりの中でも、なかなか守っていくというのは厳しい状態だったが、それがさらに厳しくなるということで、どうしていけば解決することができるかというのは悩んだ」

これまでの長距離トラック輸送のイメージ
中継輸送を取り入れたイメージ

この会社では、吉田社長が就任した2019年から2024年問題への対応に着手し始め、そのひとつとして「中継輸送」を取り入れました。「中継輸送」とは、長距離の輸送で、これまで出発地から目的地まで1人のドライバーが運んでいた荷物を、出発地から途中の中継地点までと、中継地点から目的地までをそれぞれ別のドライバーが運ぶ仕組みです。1人あたりのドライバーの労働時間を減らせるメリットがある一方、多くの人手が必要になる課題もあります。そのため、中継地点で積み換える際に同じ方向に届ける別の荷物との「混載」を行うことで、効率化を図っています。

野々市運輸機工 吉田章社長
「長距離ドライバーの労働時間に関しては、かなり削減することができてきた。これまでは朝、現場に荷下ろししに行かなければいけないというものがなくなることによって、ドライバーの時間削減であったりとか、家に帰ることができるということが実現できるようになってきた」

複数のドライバーが1つの荷物を運ぶため、情報の共有がこれまで以上に重要になります。野々市運輸機工では、スマートフォンのグループチャットを導入しました。合わせて1人の人が多くの業務を行う「多能工化」や、運賃の値上げなどの取り組みを進めることで、コロナ禍でも売り上げを保ち、離職率も5%以下の低い水準で推移しているといいます。

野々市運輸機工 吉田章社長
「やはりドライバー1人では解決できない問題だと思っている。我々、会社一丸となってチームワークを発揮して、この2024年問題をチャンスに変えていきたいと思っている」

コロナ禍を背景に宅配便需要が急増した運送業界。
利便性の背景にあるトラックドライバーの負担に対し、事業者の努力に加えて荷主や消費者の理解も必要になりそうです。