蒔絵職人の祖父は地震で被災 店を手伝う翼音さんの姿

翼音さんの祖父・誠志さんは輪島塗の蒔絵職人。輪島市河井町の朝市通りに妻と店を構えていたが、去年元日の能登半島地震で大火に巻き込まれ全焼。自ら蒔絵を施した1000点を超える商品は一つも残らなかった。

それでも制作を再開し、3月下旬に金沢市で開かれた出張輪島朝市に商品を間に合わせた。その日、地震以降初めてとなる客に誠志さんが作った箸を手渡していたのは、店を手伝っていた翼音さん。

左:翼音さん、右:祖母の悦子さん(去年3月、金沢市)

「ちょうど2000円です。ありがとうございました」

その後も週末になるたびに、祖父母とともに店頭に立ち続けていたという。

祖父母には「高校・大学とあと7年間はじいちゃん、ばあちゃんの手伝いずっとするから」と優しい言葉をかけていた。