通りに並んだ何軒もの住宅がすべて倒壊しています。

そんなこの地区で、大きな被害を受けた住宅を取材させていただく機会がありました。

電気が通っていない暗がりの中にいたのは、この家に住む上井裕(かみい・ひろし)さんです。

(上井裕さん)
「明日から二次避難するので、いるもんだけ持っていこうかなと…」
上井さんたちは被害がなかった輪島市内の娘家族の家に避難していましたが、この翌日から娘家族とともに金沢市に「二次避難」することを決めました。
(上井君江さん)
「ずっと輪島に、娘のところにいたかったんですけど、もうこういった状態だったら、なんとなく不安というか、いつ何時、地震(余震)が来たり、みんなも大変ですけど、水、トイレ、風呂とかが困っています」

呉服店を営んでいた上井さんの家は、地震で建物が基礎から“外れた”ような状態となり、大きく傾いてしまいました。

築50年ほどの家の中は、壁がはがれ、ものが散乱し、地震発生後から“手つかず”のままです。
店舗スペースでは商品が埃まみれに…

(上井裕さん)
「当然、取り壊しやわね。年が年だし、商売もできんだろうし…やっぱり(ここを)離れるのもつらいけど、どういうふうになるか分からん」
一緒に街を離れる、孫の沖崎壱成(おきざきいっせい)くんと真梨(まりん)さんです。

(Q.いま学校ってどうなっていますか?)
「オンライン授業」
「パソコンだからしにくい」
「真梨(まりん)は、みんなに会えてうれしくって、楽しい」

こういう時だからこそ、画面越しでも友達と会えることが楽しみなようです。
…と、壱成くん、がれきの中から何かを見つけ出しました。

「じいちゃんと作ったパズル。一生懸命作った」
これは、大事なものです。
そんな壱成くんと真梨さんも、しばらくこの街を離れることになります。
(壱成くん)
「(家が)壊れたからしょうがない。水が来んから、違うところに行かんと…」
(上井君江さん)
「ここから離れるのは嫌ですけど、避難として行くんです。(Q.ここには戻りたいけれども難生活の長期化が…)戻りたいです。あと、地震が来れば怖ろしいかなと思うんです。頑張っていきます」
二次避難した上井さんたちは、行政を通じて、金沢市内の山間にある温泉旅館で3月末まで避難生活を送ることが決まっていて、2人の孫は、避難先の近くにある小学校に3月末まで通うということです。
上井さんたちが二次避難を決めた理由は、断水で不便を強いられる。余震が不安で眠れないということです。
また今回、被災地で話を聞くと親族の家が無事で避難できても「気を遣う」という理由で、「避難所生活」や「二次避難で地元を離れる」というケースが多くみられました。
能登半島地震、輪島市の被害状況についてお伝えしました。