探求心を育む体験型の学習教室を開設しようと大学生でつくる団体が活動しています。学生たちは一歩ずつですが試行錯誤をしながら前に進み、思いを形にしようと、奮闘しています。
高知市の日曜市。野菜や果物の出店者が軒を連ねる中、その一角に学生たちの姿がありました。

子どもたちが放課後などに学べる教室づくりに向け活動する全国の学生団体「NPO法人 BORDER FREE」に所属する「高知ベース」のメンバーです。

関東の大学に通う竹中日菜さんが2025年4月に発足させ、高知県内出身や県内の大学に通う大学1年生から3年生まで8人が所属しています。

(BORDER FREE 高知ベース 代表 竹中日菜さん)
「地域で周りにある学習と、学校で学ぶ4教科の学習が結びついた時ってすごく面白いんじゃないかなって思って、そこに着目して体験学習の教室を開こうと思っています」
メンバーが目指すのは、中学生を対象に、探求心を育む体験学習教室を2026年4月までに立ち上げること。中高生時代に座学での勉強スタイルに疑問を持ったメンバーたちは、小・中学生などに「学習支援があればどんなことを求めるか」とアンケートで聞いたところ、「地域とつながる体験型学習」と回答した児童・生徒が最も多く、体験学習教室の開設を決めたといいます。

(BORDER FREE 高知ベース 代表 竹中日菜さん)
「『勉強したいと思えるきっかけが自分からつかみ取りに行かないとない』という声を実際にいただいて、勉強の前段階のきっかけを与えられるような教室を開きたいなと」
そこで体験学習プログラムとしてメンバーたちが着目したのが、高知が誇る農業などの一次産業です。この日は1回目の大々的な活動で、学生が自ら取り組みをPRするとともに、県産野菜の販売やゲームを通して、農業や野菜に親しみが持てる企画を展開しました。

(BORDER FREE 高知ベースのメンバー 池上佳音さん)
「農業に興味を持ってくれたり、おいしいものをどうやって作ってくれているんだろうって思ってくれたりしたらいいけど、そこまでいかなくても、ゲームを通じて『苦手だったピーマン結構おいしいじゃん』って思ってもらえたらいいかなって」

9月、立ち上げに向けたメンバー同士の会議が開かれました。これまでは県外の大学に通うメンバーや授業の都合などもあり会議はすべてオンラインでした。対面形式で会議を開くのはこの日が初めてでで、直接、顔を合わせることで議論も深まります。

(BORDER FREE 高知ベースのメンバー 岡本笑実さん)
「大学生は頑張ることが恥ずかしいと思っていると思う。年を追うごとにどんどん恥ずかしくなっていってさぼり気味になっていく。それって仕方ないことやけど、なんかもったいないなって思うから、恥ずかしさがとれたらいいんじゃないかなって」

(竹中さん)
「どうやったら恥ずかしさって取れるんだろうね」
(岡本さん)
「みんながやればいいんじゃないか」
実は、この会議までに団体に協力する大学教授から「ビジョンが不明瞭」と指摘を受けていたメンバーたち。「体験学習を通して中学生と講師となる大学生のそれぞれがどんな人になるのが目標で、そのためには何が必要か」、具体的に言語化し、明確にしていきました。

10月中旬、竹中さんは県内の生産者との間でオンライン会議を開きました。相手は佐川町でトマトを栽培する真島千穂さんです。竹中さんは真島さんから「トマト栽培で暖房コストがかかる」と聞いた点に着目し、体験学習のプログラムとして「実際にほかの地域で暖房を使わず栽培する生産者に、工夫や収益構造を聞きに行くのはどうか」と相談しました。しかし。

(トマトを栽培 真島千穂さん)
「(野菜は)いろいろな要素(気候や栽培方法)がかけ合わさってその土地土地で産業になっている。比較するなら品目を固定するとか何かを固定して比較せんと比較できんかなという気がする」

竹中さんはふだん馴染みのない農業分野でのプログラム立案に頭を悩ませます。ただ、収穫もありました。2026年開かれる県内の野菜イベントに探求学習を取り入れることができないか、真島さんの知り合いをつなげてくれることになったのです。
(真島千穂さん)
「行動しよらんとわからんね。何がどこでどうつながるか」

少しずつですが、「高知ベース」の思いは、形になろうとしています。
(トマトを栽培 真島千穂さん)
「頑張っているなっていうのが最初の印象。(プログラムを通じ農業のことを)知ってもらえたらそこからさらに後継者だったり、おいしいよってことだけでも発信してくださるコミュニティづくりを一緒にできる。頑張ってほしいなって思うのでずっと応援していると思う」

(BORDER FREE 高知ベース 代表 竹中日菜さん)
「とんとん拍子で進むことはないなと感じていて、外部の人と関わる機会が多いので、その方との一つ一つのやり取りだったりとかを丁寧に進めていくというのが大事だと思っている。高知が一つの居場所と感じてもらえたらいいなと思う」

新たな学習環境作りに向けて、メンバーの試行錯誤と挑戦はこれからも続きます。

BORDER FREE 高知ベースではメンバーを募集しています。興味がある方は、こちらの二次元コードの読み取りから検索してみてください。
