
◆濵村孝さん
「長嶋さんはみんなに『おっちょこちょい』って言われた時期があったんですよ。だけど現役時代、球場に入ってきた長嶋さんは全くそんな素振りは無くて…。“真面目”といったら失礼ですけど、もう本当に一生懸命。練習の時から。試合前練習の内野ノックでも常に僕らにアドバイスしてくれて、本当にお世話になりましたね」
野球に対して“真剣”だった長嶋さん。“スーパースター”と言われるだけあって、現役時代に放たれるオーラは「すごかった」と振り返ります。
◆濵村孝さん
「例えば巨人vs阪神の試合で、最終回で負けていて、チャンスで長嶋さんがバッターで入るじゃないですか。僕らもベンチで見るわけですよ。そしたら、“燃えている姿・オーラ”、あれがベンチまで伝わってくるんですよ。あの人だけでしたね。ベンチで長嶋さんが『打つ!』と言っていたら、やっぱりその通りに打つんですよ…。すごかったですよ」
◆濵村孝さん
「年は、長嶋さんが僕より11歳くらい上なんですよ。だけど、僕が20歳そこそこのキャンプの時、31歳くらいの長嶋さんの動きが全然違うんですよ。ゴロを追っかける、フリーバッティングの振り、これは『すごいな…』と思いましたね。全く違います。あんな選手、初めてだったんですから」
そんな長嶋さんの姿を、「今日は特に、ずっと思い出している」と話す濵村さんは、取材に伺った時、思い出の“グローブ”を持ってきてくれていました。濱村さんが巨人に入団した年にドジャースのキャンプへ行った際、アメリカで買ってきたグローブで、長嶋さんが出場した試合で、自身が使っていました。
濵村さんは当時の自身を「たまたま試合に出て行くぐらいの選手」だったと振り返りますが、試合に出場した際は、サードを守る長嶋さんに一番近いポジション、“ショート”を守っていたといいます。
Q.このグローブを使って、長嶋さんとボールのやり取りをした?
◆濵村孝さん
「そうですね。サードゴロを捕って、長嶋さんがファーストへ放ってアウトにするじゃないですか。そしたら、アウト後に内野でボールを回すんですよね。ファースト→セカンド→ショート→サード…で、ピッチャーに返す。長嶋さんは、自分が調子がいい時は、ショート(濵村さん)とサードで何回もキャッチボールするんですよ、試合中に」