多額の借金抱え、廃業を考えたことも
設立から16年。これまで山あり谷ありだったと武田さんは振り返る。元々資金のない中での起業。県内の自治体などに足を運び製品のプレゼンをするも、当初、災害用浄水装置は受け入れてもらえる先がなく、それぞれの要望に応じた製品を作ろうとしたため、開発費用も膨れ上がっていく。
そのような状況で、一時期は経営難に陥り、多額の借金を抱え、家族と暮らす家の電気やガスが止まってしまったことも…。
「このまま会社をたたんでしまおうか」先が見えず、やり場のない気持ちで過ごす日々が続いた。

「会社を立ち上げたものの売れゆきは伸びず。それでも、お客さんのニーズに応えたいという一心で開発を続け、借金が膨らんでいきました。でも、どん底を味わったからこそ、今、何があっても動じない強さが身についたと思います。今では苦しかった時期も良い経験だったと感じています」
その後、何とか信頼できる人に力を借りるなどして、再び奮起した武田さん。信念をもって夢を本気で追い続ける武田さんの姿に感銘し、協力してくれる人も現れるようになった。
浄水装置は高知県の防災製品にも認定され、少しずつ自治体や病院などへの導入も増えていった。現在は県内ほぼすべての自治体に導入。関東や関西など5か所に販売店もあり、販路を広げている。
次は、「水のない土地で水を生み出す」挑戦だ。