きっかけは「アフリカの子どもたちを助けたい」
アクアデザインシステムが設立されたのは2008年。武田さんは高校卒業後、オーストラリアに留学し、25歳まで過ごすも、母親の病気を機に帰高。宝石サンゴを販売する父親の会社を継ぐ選択肢もあったが、「何か自分で事業をやってみたい」という思いが湧き起こる。
そのとき思い出したのが、子どもの頃テレビで見たアフリカの子どもたちが泥水を飲んでいるという現状。「そんな子どもたちを助けたい」大人になってもその時の思いが心の片隅に残っていた。
元々、機械いじりが好きだったこともあり、たった一人で浄水装置メーカーの会社を立ち上げた。28歳。何もかもゼロからのスタートだった。

試行錯誤しながら、ほぼ独学で浄水装置の開発を手がけ、オンリーワンの製品を生み出していく。
海水対応の浄水装置は、水分子しか通さない特殊な膜に圧力をかけて、原水中の水分子のみを取り出すもので、海水を水質基準に適した飲料水に変える事ができる。

年々、自治体などの要望を取り入れながら進化し、他にも、電源がない場合でも手動で操作できる製品や水源地まで移動できる自走式装置なども開発。現在10種類の製品を展開するまでに至っている。
武田さんが社長兼職人で、社員はゼロ。会長と顧問を務める父親のわずか3人だけの会社を守っている。