前田穂南ら先輩たちの背中を追う西村
樺沢には敗れたものの、19歳の西村美月の2位は大健闘だった。高卒ルーキーのハーフマラソン出場を後押ししたのは、1月に2時間18分59秒の日本新で走り、パリ五輪女子マラソン3枠目代表の可能性がある前田穂南(27)ら、天満屋の先輩たちの存在が大きかった。
西村の今大会の目標は「1時間11分を切ること」だった。「(五輪女子マラソン代表5人を出してきた)天満屋の先輩方を含めオリンピックに行かれた選手たちは、高卒1年目から1時間11分台前半を出されている選手も多かったりします。去年の大学生の記録とかも見させていただいたときに、1時間10分台を出せたら1年目として良いスタートが切れると思いました」その記録を目標にできたのはやはり、天満屋の練習と先輩たちの存在があったからだ。
「前田先輩をはじめマラソンをやられている先輩たちの練習と比べたら、足元にも及ばないくらいしかまだやっていません。でも他の高卒1年目選手と比べたら、自分が絶対に一番距離を踏んでいる自信があります。それと天満屋の朝練習を1年間継続してできたら、それだけで体力がつく。武冨豊監督からはそう言われている練習を毎日こなすことができて、最近は(本練習で)20km以上の距離走がしっかりこなせています」
プリンセス駅伝6区区間賞の実績はあるが、5000mの自己記録は16分17秒14に過ぎない。全国都道府県対抗女子駅伝1区でも区間27位だった。それでも格上の選手たちを相手に積極的な走りができた。上述の理由に加え、19年世界陸上ドーハ大会マラソン7位入賞の谷本観月(29、全国都道府県対抗女子駅伝6区区間賞を最後に引退)から、具体的なアドバイスを受けたことで勇気を持った。
「西村なら絶対に行けるから、と何度も言ってくださいました。先輩方が今回走っていたらここで行くはずだから、という思いもあったんです。それが走っているときの自信になりました」
今後の目標を「少しでも先輩方に追いつけるような走りをして、前田先輩みたいに人に感動を与えられるような走りをしたいです。マラソンにも挑戦していきたい」と力強く話す。
前田は入社2年目で初マラソンに出場し、3年目(18年)の北海道マラソンに優勝。翌19年のMGCに優勝して東京五輪代表入りを決めた。西村の気持ちがそこに向いているのなら、先輩の背中は絶好の目標となる。