レモン彗星ってどんな星?

天文ファンの間で話題になっている「レモン彗星」について、天文に詳しい山陽学園大学 地域マネジメント学部講師の米田瑞生さんに聞きました。

ーいま話題になっている「レモン彗星」は、どんな星なのでしょうか?

(山陽学園大学 米田瑞生さん)
「今回の主役はアメリカのレモン天文台で発見された彗星です。名前の由来は発見者ではなく観測施設で、柑橘類とは関係ありません。

ただし、見た目はちょっと爽やかで、夜空の中で黄緑がかった尾をのばす姿はレモン色のように感じるかもしれません」

【画像①】は、2013年3月にニュージーランド・テカポで花崎洋平さんが撮影したレモン彗星 (C/2012 F6 Lemmon)です。

【画像①】C/2012 F6 Lemmon 撮影 花崎洋平さん

ー2013年にもレモン彗星が観測できたのですね。

(米田さん)
「【画像①】のレモン彗星 (C/2012 F6 Lemmon)は、2012年にレモン山天文台で発見されたもので、今回とは別の彗星です。

今回のレモン彗星は、C/2025 A6という符号があります。レモン山天文台での観測で、多数の小惑星・彗星が見つかっています。【画像①】もそのひとつです」

ちなみに、ニュージーランドのテカポの位置は【画像②】。

「世界一美しい星空が見られる」といわれるテカポ湖には、世界中から多くのカメラマンが訪れています。

【画像②】ニュージーランド テカポ

彗星は「氷の玉手箱」

ー「彗星」とは、どんな星のことですか?

(米田さん)
「太陽系のすみっこでひっそり凍っていた『氷の天体』が何らかの原因で、太陽に接近するのが、彗星です。水や二酸化炭素、チリなどが凍った状態で存在しています。太陽に近づくと温められて、氷が溶け、ガスやチリを吹き出して尾(テール)を作ります」

レモン彗星のふるさとは太陽系の最果て

ーレモン彗星(C/2025 A6)はどんな特徴があるのでしょうか。

(米田さん)
「レモン彗星は、およそ1400年以上かけて太陽の周りをまわる長旅の天体です。200年以上かけて公転する彗星は、長周期彗星に分類されます。

こうした『長周期彗星』は、太陽系のはるか外側にあるオールトの雲【画像③】と呼ばれる領域からやってきます。オールトの雲は、まだ誰も直接見たことがない“宇宙の冷凍庫”。太陽系ができたとき(46億年前)の状態の天体を、『冷凍保存している』ため、多くの研究者が、彗星から太古の昔の太陽系を推測しようとしています」

【画像③】オールトの雲のイメージ