都市も地方も「このままではいけない」

斎藤幸平 東京大学 准教授:
原発を使い続けることが、地震大国の日本で、果たして可能なのか。私は、最近の原発回帰の動きには違和感がある。

日本は、福島の原発事故の反省として、再生エネルギーに転換していくべき。
そして、大都市が大量の電力を使用することで生まれるリスクやツケを、地方に押し付けている構造を見直すためにも、都市部における過剰消費を見直していく。それを私は脱成長と言っている。
それと合わせて、断熱などの効率化をやっていくことが、今後は必要になる。
それらを実現するのは難しいことだが、それをやらなければいけないということ自体が、真の原発コストなんだと思う。

喜入キャスター:
志賀原発は、町の高台にあって、遠くからでもその姿を見ることができます。取材に入って改めて、原発がある町なんだと感じました。
地元の方の中には、しばらく原発が稼働していないので、原発への意識が薄くなっていたと話す方がいらっしゃいました。
今回の地震をきっかけに、改めて原発について考え直して、再稼働には反対したいという方もいらっしゃいました。

一方で、雇用を生み出しているというのも確かです。
志賀原発の周辺には、朝早くから、ひっきりなしに関係者の車が出入りしています。地元の方の中には、「この町は原発が支えている」と話す方もいらっしゃいました。

こうした複雑な事情があるとはいえ、今回の教訓は、このままではいけない、ということなのではないでしょうか。

小川彩佳キャスター:
東日本大震災から、まもなく13年というタイミングでもありますが、改めて、当時に感じた、原発への恐怖や、このままでいいのかという思いを持たなければならないと思います。

斎藤幸平 東京大学 准教授:
みんな忘れていますよね。そうした地域が、交付金漬けになってきたわけだが、そうではなくて、自立できるよう支援することが国の責任。それが今抱えてる問題だと思います。