ーー最後に伺います。公安調査庁は共産党を破防法に基づく調査対象団体にしたままです。こうした当局の見方についての考えと、「敵の出方論」といった根強い指摘に対し、共産党は的確に対応してきたか、という点についてはいかがでしょうか?

結論的に言うと、共産党が武装闘争の方針を持っているというのは、ほぼあり得ないことだと思います。これは共産党内部の方に聞いても、「武装闘争の訓練なんて見たことがない」と。「そもそも我々高齢化していて、武装闘争に耐えられない」ということを言いますし、冷静に考えても、警察力や自衛隊の力を考えると、共産党が蜂起しても、ひとたまりもありません。

ですから、さすがに共産党の指導部も、武装闘争をするというオプションがこの日本にあるとは、全く考えてないと思います。ただ、過去に武装闘争をしたことがなかったのかというと、それはあったということだと思います。それはいわゆるコミンフォルム批判以降、数年間にわたって武装闘争方針がとられた。戦前について言うと、やはり武装闘争方針的なものを掲げてきたということがあります。

しかし、それはかなり過去の話であって、1955年の「六全協」(*第6回全国協議会。それまでの武装闘争方針を放棄した)以降、徐々に平和革命の方針になってきて、これが定着しているというのが現状だと思います。

しかしなぜこういう誤解がなかなか払拭できないのか。それは政府の方もそれをうまく使っているということが一つあると思います。けれども共産党の方も、率直にいろいろ言った方がいいと思います。いわゆる1950年の分裂、武装闘争方針について「一部の人たちがやっていた」という、やや小手先の言い訳をするのが、かえって誤解を招く根源になっているのではないかと思います。

「過去こういうことがありました」「それについては本当に間違っていました」「大衆の支持も得られませんでした」ということをきちんと言った上で、もう金輪際、そういったものは反省して持ってないと堂々と説明すれば、私はいいのだと思います。

ですから、洗いざらい当時の資料も外に出して、100年をきちんと直視して、総括して前に進んでいくということが、やはり共産党に求められているのではないかと思います。

TBS政治部 野党担当