地震発生の翌日から珠洲市に医療応援に入られた愛知県にある「さくら総合病院」の院長、小林豊医師にお話を伺います。

避難所の感染症拡大に警戒 水不足の中での対策は?

日比麻音子キャスター:
改めて、ここまでのわかっている被害をまとめていきます。亡くなった方の人数は珠洲市98人、輪島市83人、穴水町20人、能登町6人、七尾市5人、志賀町2人、羽咋市1人の合わせて215人。このうち災害関連死は14人となっています。そして、避難者の数は383か所に2万2373人となっています。

断水している場所が多いということで衛生面への課題がまだまだあります。そんな中で、避難所では感染症が広がっています。

11日の検査で「陽性」とわかった新型コロナやインフルエンザなどは88人、ノロウイルスなどは41人。ただこれは一部の検査ということになりますので、まだ全体はなかなか把握し切れていません。

こういった状況から石川県では11日、感染症の対策チームが発足されました。今後、この感染症への対策も課題となってきます。

井上貴博キャスター:
実際に小林医師は珠洲市に入られたということですが、その珠洲市の避難所で感じたこと、今必要なもの、何が足りていないのか、教えてください。

さくら総合病院 小林豊 院長:
珠洲市の避難所で見てみると、やはり水不足、水の供給が不足していることが大変顕著に現れまして、これによって口腔内の衛生環境が悪化しての誤嚥性肺炎がこれから増えるだろうなというのもありますし、怪我された方で、軽微な怪我でも放置されてる方が多いので、それによって高齢者がだんだん寝たきりになっているっていう現状があります。こういったこともエコノミークラス症候群を助長する要素になるかなと思いました。

井上キャスター:
各自治体でももちろん動きは見せていて、輪島市などの高校では高校のクラスの教室でコロナ感染者、インフルエンザ感染者、胃腸炎の方を分けてということなども進んでいるようですが、そこまでの陸路が寸断されているので、なかなか収容できないというところもありませんか。

小林院長:
我々も地震の翌日、珠洲市まで向かうのに通常5時間で名古屋から行けるところが12時間かかりました。もう陸路がかなり脆弱で損壊していますので、このあたりがかなり問題となりますね。

日比キャスター:
取材をしていますと、物資がようやく届いても食べられるものが甘いパンであったりお菓子ばかりで、持病をお持ちの高齢者の方は、「これを食べ続けるのは体に良くないとわかっていても、これを食べるしか命を繋げないから食べている」というふうに教えてくださいました。特に高齢者の方は、今後そういった栄養面や食事面も懸念がされますよね。

小林院長:
短期的にはさほど問題は示さないと思うんですが、これから2週間、1か月、また2か月というふうに長期化していきますと、いろいろな弊害が追って出てくると思われます。