「肩入れする様子もない」

「被告人が資材置き場に置かれていた燃料の入ったドラム缶を持ち上げて、被害者の体に燃料をかけ、従業員からライターを借りて被害者に2回火をつけようとし、2回目に被害者が燃え上がった」

社長の男は、従業員の1人が火をつけたと主張していたが…

<裁判長>
「3人の証言は大筋で一致しており、特に従業員Bは、比較的中立性の高い立場にあり、供述内容にも、ことさら被告を悪く言ったり、2人の従業員に肩入れする様子もない」

実は従業員Bは、事件の10日前に派遣として会社に来たばかり。どちらとも知り合って日の浅いBの中立性の高い証言が大きな判断材料となった。

裁判長は「従業員らの証言と対比して、被告人の述べるところが真実であるかもしれないと思わせるような証拠、事情もない」と断じたうえで「被害者の体に燃料をかけて火をつけるという犯行態様は残忍で悪質というほかない。相当程度長期の刑を相当とする事案」として、実刑判決を言い渡した。

判決を受け、社長の男は12月27日、東京高等裁判所に控訴した。