■人として尊厳のある生活を送るために


貧困対策だけでなく、ジェンダー平等の視点も加わりつつある「生理の貧困」をめぐる自治体の取り組み。3年前に全国ワーストだった鹿児島でも取り組みは広がっているものの、多くの自治体が効果的な取り組みは何なのか、模索中でした。
厚生労働省の調査(22年2月実施)によると、生理用品の購入や入手に苦労したことがある人のうち、住んでいる地域で生理用品の無償提供が「行われている」と認知していたのはわずか13.5%。現在より効果的な周知方法を探る必要があります。

また、電話取材をしていると、複数の自治体との間でこんなやり取りがありました。

記者  「『生理の貧困』問題について担当している部署につないでほしい」
電話交換手「え?何の貧困って言いました?」
記者  「生理の貧困です」
電話交換手「セイリ…セイリと言いますと?」
記者  「女性にある生理です」
電話交換手「……ああ、生理ですね。えーっと、少々お待ちください」
 
取り組みを周知する側の役所内でさえ、「生理の貧困」という言葉自体もまだまだ浸透していない自治体もありました。


「生理の貧困」について考えることは、生理がある人が様々な機会を逸することなく、人として尊厳のある生活を送れるようにするためにどうすればいいかを考えること。生理がある人もない人も「生理の貧困」について「自分事」と捉え、社会全体で効果的な取り組みはどんなものか、もっと考える必要がありそうです。