■トイレで配布すると、窓口配布の4.5倍の利用が
窓口で受け取る人が少ない実態を受け、配布方法を見直したところも。鹿児島市は公共施設のトイレで試験的に生理用品を配置したところ、約10か月間で、トイレでの配布は窓口配布の約4.5倍の利用があり、トイレに生理用品を置く公共施設を増やすことにしました。

■「本当に必要な人に渡っているか」トイレに配置する自治体のモヤモヤ
トイレに生理用品を置けば、利用者は気兼ねなく受け取れますが、モヤモヤを抱えながら配布している自治体もあるようです。
ある自治体の担当者は「庁舎内のトイレに置いている生理用品の減りが早い。本当に必要な人に渡っているのだろうか、と不安になる」。この自治体には、「観光地のトイレなどにも置いてほしい」という声が寄せられましたが、「いたずらされないか、必要ないのに持って行く人がいないか、懸念がある」として、見送っています。
また、別の自治体では庁舎内のトイレに置いた生理用品の消費スピードが早いため、一旦配置をストップする事態も発生。担当者は「『生理の貧困』に苦しむ人に、どうやったら支援がきちんと届くか、検討しなければ」と話していました。
■ジェンダー平等の視点でトイレに生理用品を置く自治体も

「生理の貧困=貧困問題」と捉えがちですが、生理用品にアクセスできない理由は、経済的な理由ばかりではありません。様々な事情で入手できない人や、突然生理が来て焦りや不安を感じている人も利用できるようにしている自治体もありました。
その一つ、薩摩川内市は「すべての女性が安心して日常を過ごし、活躍するために必要な支援」として、市内の公共施設の一部トイレの個室に生理用品を置いています。
県外に目を向けると、同じようにジェンダー平等の観点から、長野県松本市が2023年3月から市内の172施設のトイレで常備。置いているのはチャリティー団体から無償で提供された生理用品で、担当者は「トイレットペーパーが当たり前にトイレに置いてあるように、生理用品も当たり前に受け取れるようにするのが理想」と話します。