床に脱ぎ捨てられた家族の靴下にイラッとする方は多いのではないだろうか。大抵、靴下は裏返しで丸まっていて、手に取るとニオイがプーンと漂い、怒りは倍増する。しかし、視点を変えると「裏返しにしてくれて、ありがとう」と感謝したくなるらしい…?!

裏返された靴下にイライラ…する必要はない?

SNSの投稿を見てみてみると「靴下裏返しのまま洗濯機入れないでって言ってんじゃん」「いちいち裏返しを直して洗濯機入れるのやだよねー」「夫よ…なぜ靴下も下着も服も裏返しで洗濯カゴにいれる?」など細々とした家事への嘆きが出てくる、出てくる…。

洗濯の際に、多くの人たちを悩ませている「衣類の裏返し問題」。些細なことだけど、毎日されるとイラッとくる…、恨みは積もるばかりだ。

しかし、だ。LIONで、約20年以上洗濯洗剤などの製品開発・調査に携わっているお洗濯マイスターの大貫和泉さんによると、衣類の裏返し問題も、考えようによっては、良いことなのだというのだ。一体、どういうことなのだろうか?

ライオン株式会社 お洗濯マイスター大貫和泉さん 

衣類の「表」と「裏」 汚れているのは実は…

ーー脱ぎっぱなしの衣類。裏返しになっていて、家事の負担に感じている方は多いようです。

「そうですよね、でも汚れを落とすという意味では、実は裏返しっていいんですよ」

ーーえ?どういうことですか?!

「洗濯をする際は、汚れている面を表にした方がいいんですね。洗濯機の中の水流が直接当たるので、汚れがよく落ちるんです。

ですので、肌着や靴下などは、汗や皮脂、角質、ニオイの原因となる汚れが、主に皮膚と接触している側についているんです。ですので裏返しにした状態で洗濯した方が、汚れがよく落ちるといえるんです」

ーーな、なんと。確かに、靴下の臭いって、表より、裏の方が臭いなって思ったことがあります。

「ですね、ニオイの原因となる汚れを取るには、裏返しになった靴下なら、そのまま洗うといいです。

でも、同じ靴下でも裏返さない方が良い場合もあるんです。子どもの靴下など、泥汚れがひどい場合には、裏よりも表側の汚れを落としたいので、前洗いをして、裏返しにせずに洗濯機へ入れてください。

『表』か『裏』か迷ったら、綺麗にしたい方を外側にして洗濯するようにしてください」

裏返しになって脱ぎ捨てられた衣類たち。実は、裏面のほうにより汚れが付着している場合には、そのまま洗濯機に入れてしまえば、汚れが良く落ちるということのようだ。臭い靴下や、汗を吸った肌着などは、むしろ裏返しに脱いでくれたほうが効率的で、脱ぎっぱなしに感謝してもいいような気にもなってくるではないか。

ちなみに、衣類の裏返しだけでなく、くしゃくしゃに丸めて出されることで、シワになる心配を洗濯マイスターの大貫さんに伝えると、これまた意外なしわ伸ばしの方法を教えてくれた。重要なのは洗濯前でなく、洗濯中、そして、洗濯後の一工夫なのだという。