“心拍がある状態で家族に会わせたい” 冷静な治療判断とのはざまで葛藤
救命が難しい一酸化炭素中毒。医師として求められる冷静な治療と、次々に運ばれてくる患者を少しでも救いたいという思いのはざまで葛藤した。
(栗田晃宏医師)「例えばこれが大きな災害の場合は、心肺蘇生や救命措置の適用にならない患者さんなんですけれども、どこまで頑張るかっていうのと、家族の方に心臓が拍動した状態で何とか面会とかちょっとの時間でもという思いがありましたね」
心拍がある状態で家族に会わせたい。酸素投与や心肺蘇生の結果、6人の患者のうち3人の心拍が再開したという。しかし、既に一酸化炭素がからだ中を巡り、その後、全ての患者が息を引き取った。
(栗田晃宏医師)「最初の1人の方だけ、おそらく心臓が動いた状態で(ご家族に)面会されたと思います。結果論になりますけども、結局その3人の方も救命することはできていないんですね。ですから医学的に言うと、本当にそれが正しかったのかというのは、議論が残る」