「答えるのは差し控えたい」と繰り返す

一度短い休廷を挟んで、被害者参加制度を利用して裁判に参加している遺族らも質問台に立った。『涼宮ハルヒの憂鬱』でキャラクターデザインなどを担当した寺脇(池田)晶子さんの夫も、そのうちの一人だ。落ち着いた様子で質問を始めた。

寺脇(池田)晶子さんの夫「涼宮ハルヒの憂鬱は今でも好きですか」
青葉被告「えーっと。のちのち答えさせていただくので、答えるのは差し控えたいと思います」

寺脇(池田)晶子さんの夫「今までの裁判で出ているように『ハルヒの憂鬱』などの京アニの作品を見て、感銘を受けて小説を書き始めたのですよね?」
青葉被告「そうでございますが、これ以上の答えは差し控えさせていただきたいと思います」

寺脇さんの夫は大きく息を吐いて質問を続けたが、続く質問にも青葉被告は「回答は差し控える」と繰り返した。裁判長が被告に「どういった質問にも答えられないのか」と確認すると。

青葉被告「今の段階で答えるべきではない。のちのち必ず答えるべきときがきます。被害感情の立証を聞いたうえで、答えるのが筋だということと、それが裁判のルールだと弁護人からも聞きましたので。今の質問だと“答えていいこと”と思っているのですが、そのように弁護人から話があったので今は控えたいと思います」

弁護側は、“遺族の意見陳述を聞いたうえで被告人質問を行うのが通例で、ここで回答を求めるのは法のルールを逸脱している“などと、12月に回答するとの態度を示した。この日質問を予定していた数人の遺族らが相談し、1人の代理人が続いて質問したが、青葉被告の回答は変わらなかった。