「親のエゴでは?」 批判の声も
母・晶子さん
「鳥取県で初めて呼吸器をつけた子が地域の学校に行ったっていうところで、何にしても初めての事案って、反対意見も賛成意見もきっとあると思います。ただ、実際恐ろしくなるような意見、殺害予告じゃないですけど、それに近いようなこともあったりして。恐ろしいなと思うこともありました」

「教員の業務が増えてかわいそう」
「これは完全に親のエゴ」
厳しい言葉が向けられることもありました。
今、全ての子どもたちが共に学ぶ「インクルーシブ教育」が世界的に推進されている一方で、障害のある子どもとない子どもを分離して教育が行われてきた日本においては、まだ実態が追いついていないのが現状だといいます。
ノートルダム清心女子大学 人間生活学部児童学科准教授・インクルーシブ教育研究センター長 青山新吾さん
「一番強く思うのは、結局学校ってある意味社会の縮図というか。学校の中で起きている構造って、それから10年20年30年経った時の社会の構造につながっていくんじゃないだろうかと。
少子高齢化っていう今の日本の社会の現状とこれからを考えた時に、人と人がつながってそこで共に生きる形をいかに作っていくかというのは、実は障害がある子どもがどう育っていくかっていう話だけでなくて、この国の子どもたち、大人たちがどう生きていくのかという根本的な話になってくる。
多様性や違いに対する感度をまず上げていくところから出発して、多様な人たちがみんなそれぞれに包摂されてそれぞれに居場所があって、生きていく社会を作っていくための基盤となる教育を、今行っているんだ、そういう見方が、1つ大切なのかな思います」
恵美里ちゃんの入学によって、羽合小学校は変わり始めています。
湯梨浜町立羽合小学校 谷口章人校長
「普通の小学校ですので、恵美里さんのように医療的ケアの必要なお子さんが来られる環境もはじめは当然ないですし、特別支援学校の経験がある職員も少なかったので、ほとんどの職員が最初は不安の方が大きかったです。そこを、紡いで紡いで、1つ1つ研修をしたりして。
学校だけの力ではなくて、彼女を支える取り巻くすべての人的な環境、物的な環境、皆さんのご理解があって、こういう受け入れができているということですし、それを通して我々も成長させていただいているっていうところが、この2年間続けられている1つの成果のようなものじゃないかなと思っています」