あの「後悔」をしたくない

母・晶子さん
「もし今日、今夜、明日、だめってなった時に、ICUの前で感じたあの後悔をもうしたくない。もう、今日どうなってもいいように、明日どうなってもいいように、『今日1日を頑張ろう』みたいな感じでした」

命の危機を乗り越えた恵美里ちゃんが退院すると、晶子さんは共にあらゆる場所へと出かけました。
人工呼吸器をつけた恵美里ちゃんをおぶって登山。
キャンプに、時にはテーマパークへ。
とにかく「今日1日」を、精いっぱい駆け抜けました。

恵美里ちゃんの体調が安定してくると、「今日」のことしか考えられなかった晶子さんにも、恵美里ちゃんの未来のことが見えてきました。

そうして始まったのが、「就学」に向けた準備です。

母・晶子さん
「やっぱり地域の子どもたちと一緒に通ってほしいなって、一緒に育ってほしいなっていうのがずっとありました」

隣の市・鳥取県倉吉市にある特別支援学校か、地元の羽合小学校か…選択肢は2つ。2校を実際に訪れるなど、入学の数年前から教育委員会とも相談を重ねてきました。
羽合小学校は自宅から歩いて10分ほどの距離にありますが、特別支援学校に通うには車で片道1時間弱かかります。

それぞれの学校に、良さもデメリットもあるなかで、晶子さんが感じたのは「地域の一員として育ってほしい」ということ。
全校児童500人以上と鳥取県中部で最も規模の大きい羽合小学校は、とにかくにぎやかで子どもたちの笑い声にあふれていました。
「こうしたにぎやかな声の中で、地域の子どもたちと一緒に成長してほしい」
その思いから、晶子さんは羽合小への就学を希望しました。

前例のないことに困難もたくさんありました。
しかし、教育委員会や学校、地域の支え、そして、2021年に成立・施行された医療的ケア児支援法も後押しし、去年、恵美里ちゃんは羽合小学校に入学したのです。

母・晶子さん
「恵美里ちゃーんって呼んで駆けてくる子どもたちがいたりして、ああ学校で一緒なんだな、恵美里のことをよく知っててくれるんだなって思って。恵美里は子どもたちから刺激もたくさんもらっていると思います。羽合小に行かせてもらって、ほんとに間違いじゃなかった、よかったなって」

しかし、その一方で…