日本の大学は“3安”…留学は人生をやり直す希望

日本にいる中国人留学生は年々増加傾向にあり、10万人を超えています。
特に池袋は、周辺に日本語学校や大学が多く、留学生が集まりやすいといいます。

中国各地方のガチ中華が食べられるフードコートには、多くの留学生が来店していました。

留学生
「大学院へ留学に来ました。早稲田です」
留学生
「東邦音楽大学です。声楽が専門です」
日本の大学や大学院に入るために、通う場所があるといいます。それが…

留学生
「(日本の大学に入るため)1年間、塾で勉強をしました」

中国人留学生向けの進学塾です。激戦区となっているのが東京・高田馬場。駅周辺には多くの予備校が進出していて、広告は駅の中にまで。一体、どんな授業なのでしょうか?

「啓程塾」という予備校は毎年、多くの生徒を有名大学に送り出していて、生徒数は1000人を超えています。

喜入キャスター
「こちらは今、何の授業ですか?」
啓程教育グループ 李旭 代表取締役
「学部(受験)向けの数学の授業です」

講師
「試験の時には大きな試験問題集をもらって、そしてマークシートももらいます」
解説は中国語で行われますが、板書や教材は日本語です。

啓程教育グループ 李旭 代表取締役
「(試験)問題は日本語なので、教材と練習問題は全部日本語でやっています」
授業料は年間60万円で、そのほかに日本語学校や受験費用を含めると、学費だけで年間140万円かかるといいます。
それでも、日本は欧米に比べてリーズナブルで人気だといいます。

留学生(来日1年目)
「日本の大学は、留学生の間で“3安”とよく言われています。3安とは『値段が安い』、『安心』そして『安全』ということです」
日本を選ぶ理由は、コスパ以外にも…
留学生(来日1年目)
「中国の大学は競争が厳しいです。日本のほうが大学に入るのが簡単だと思います」

留学生
「中国の『高考』(ガオカオ、全国統一大学入試)は人口が多いので、競争が激しすぎます」

背景にあるのが、中国の“受験事情”です。2023年の全国統一大学入試・高考の受験者数は、過去最多(1291万人)を記録。年々、受験競争は厳しさを増しています。

啓程教育グループ 李旭 代表取締役
「中国で受験して落ちた、じゃあ日本でチャレンジしようという生徒さんもいます」
中国で受験に失敗し、日本で「再出発をしたい」と話す人がいます。中国・大連出身のリュウさん(24)。2022年6月に来日しました。
リュウさんにとって、中国の受験は“トラウマ”になっています。

リュウさん
「高考を受けた時のことを考えたら、二度とやりたくない!
(高校の時は)朝6時から夜8時まで、ずっと学校で勉強しました。家に帰っても、夜10時まで勉強していました」

猛勉強するも、プレッシャーから試験で良い点が取れず、第三志望の大学に入学。卒業後は、小さな会社に就職します。
リュウさん
「給料の面ですよね。私にとっては低いです」
中国では一度挫折してしまうと、そこからはい上がるのは難しいといいます。そんな時、人生をやり直す希望となったのが日本への留学でした。そして10月、関西にある大学を受験しました。
リュウさん
「日本に来たからこそ、もう一度自分が本当に歩みたい道を選べる。これは日本ではできるけれど、中国では得られない(チャンス)」
そして、11月14日…

リュウさん
「お待たせしました、いらっしゃいませ」
運命の結果通知が届きました。