シェルターの中で、絵本は静寂と落ち着きと安心感を与えてくれる

ロマナ:
何百万人もの子どもたちが、何時間も、何日も、何カ月も、シェルターの中に避難しているのです。暗闇の瓦礫の中では、絵本が大きな役割を果たします。非常にストレスの多い環境下で、子どもたちは絵本を読みたがります。

絵本は平穏な生活、知っているもの、心地よいものへの架け橋だからです。爆撃から身を守るシェルターの中で、絵本は、静寂と落ち着きと安心感を与えてくれます。この現実の恐ろしさから、ほんの一瞬でも気をそらすことができるのです。絵本は「普通の生活への架け橋」になっているんです。

ウクライナから出国した子供たちを預かっている海外の友人たちとも、常に連絡を取り合っています。そこでも、絵本が一番求められています。子どもたちが本を読みたがり、絵を見たがるので、ウクライナの本がたくさん各国に送られています。それが、絵本の最も重要な役割だと考えています。

ロマナ:
戦時下での絵本には役割があるのです

戦争をどう伝えていくか。家庭も書店も模索

提供:ブロンズ新社

6月に日本で発売されたこの絵本。すでに重版が決まっているといいます。この本を出版したブロンズ新社の担当者は「連日ウクライナ侵攻について報じられるなか、『子供に対してどう戦争を伝えていくのか』を考えて絵本を手に取る保護者が多くなっている」と話しています。

また、「“児童書のコーナーは平和で楽しいものにしたい”という願いから、戦争関連の絵本をクローズアップすることにためらいを感じる書店さんも少なからずあった。それでも、侵攻が長期化するなかで反戦などをテーマにした絵本を集めたフェアも増えてきている」ということです。

書店でも戦争や平和について考えるコーナーが

「この戦争で、孤独になることをみんな恐れています。何が起こっているのかを注意深く見てほしい」

ロマナ:
私たちにとって、日本で出版されることはたいへん名誉なことです。そして、日本の方々がウクライナに提供してくださっているすべての支援にも感謝しています。
この本のメインメッセージでもあるのですが、主人公たちは、かんたんに傷つけられ、かんたんに壊され、かんたんに殺される、壊れやすい素材でできています。