増え続ける犠牲者「現実を知ってほしい」

絶望的な状況に陥りながらも、彼らには夢がある。マウンさん(仮名)は、「軍との戦闘に勝利したら、故郷に帰って家族のために医師として働きたい」と話した。

ある若者はビジネスを学び、ミャンマーの人たちの暮らしを支えるために起業することが目標だという。

癒えることのない悲しみ、燃えるような怒りを抱え、日々、死と隣り合わせの状況で戦う若者たちには、軍に勝つことだけが唯一の希望だ。ただ、部隊のトップは、複雑な感情を口にする。

武装勢力のトップ ソー・サ・ローン氏:
「本来なら若い子たちにはしっかりと教育を受けさせてあげたい。でも、軍に復讐したくて戦いたいと志願する若者もたくさんいる。私たちにはコントロールするのが難しい状況です。ほかの国に自由はあってもこの国に自由はありません。戦っても死ぬ。戦わなくても死んでしまうんです。若者たちの未来を考えると、とても残酷です」

武装勢力は限られた物資で、軍とのギリギリの攻防を続ける

ソー・サ・ローン氏は、「ミャンマーには自由と民主主義が必要です。市民を虐殺する軍の暴走を止めなければならない。私たちの世代で終わりにしなければいけない。どうか、日本の皆さんもミャンマーのために祈ってほしい。この国で起きている現実を知って、関心を寄せてほしい」と切実な思いを語った。

武装勢力トップ ソー・サ・ローン氏

2021年2月のクーデターから2年半。全土で必死の武装抵抗が続いているが、大きな戦況の変化はみられていない。その間にも民間人の死者は3000人を超え、今も増え続けている。