ミャンマー軍による厳しい弾圧で、家族が殺害されたり、友人が逮捕・収監されたりした若者たちは少なくない。軍への復讐心は、若者たちを武装抵抗に駆り立てた。中には高校生で戦闘員になった人もいる。クーデターから2年半が経ち、軍と抵抗勢力の戦闘はどうなっているのか。JNNのカメラは、詳細な場所を明かさないという条件で民主派武装勢力の拠点に入った。

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戦闘激化する国境地帯 武装勢力に潜入

軍の支配が強まるヤンゴンやネピドーといった都市部とは打って変わって、国境地帯などでは軍と抵抗勢力の戦闘が激しさを増している。

ロシア製の戦闘機などを使って無差別空爆を繰り返すようになった軍に対し、民主派の抵抗勢力側も無人航空機=ドローンを使った爆撃などで対抗している。

私たちは7月、激戦地のひとつにある武装勢力を取材した。日本メディアの取材を受けるのは初めてだという。

ミャンマー東部に拠点を置く武装勢力

ぬかるんだ赤土と草木の緑が広がる山岳地帯。上下左右に激しく揺れる車。窓ガラスには泥水のしぶきが跳ね上がり、蛇行する悪路の両脇でうっそうと生い茂る木々の枝が、バチバチと車体を叩く。

山の頂上や森の中に多数のキャンプがあった。屋根をブルーシートで覆い、木や竹を編んで作った簡素な小屋がいくつも並んでいた。

およそ500人の隊員が各地に身を潜めていて、食事や生活用品は村の住民たちが支援してくれているという。

私たちが到着すると、迷彩柄の軍服に身を包んだ隊員たちが待っていた。皆、自動小銃や携行型のロケットランチャーなど、物々しい武器を身に着けている。

軍との戦闘で命を落とした隊員らの墓

小さな丘に作られた墓地には、クーデター後の戦闘で亡くなったメンバーが埋葬されていた。「彼らはみんな家族だった。守ってあげられなくて申し訳ない」ある隊員はそう言って肩を落とした。ここはまさに戦場なのだ。