取材を終えて
軍事政権の弾圧で、大切な人を失い、生活の基盤を失い、将来の目標を失ってしまった人たち。若者たちが血で血を洗うような戦いに身を投じたのは、私たちの想像すら及ばない悲惨な現実に向き合ったからなのだと思います。
クーデターが起きる前、彼らの未来は希望にあふれていたはずです。死んでほしくないな。曇り空の下で若き戦闘員らの表情を撮影しながら、そう願っていました。
ミャンマーでは“ふつうの人々”が、殺し合いに巻き込まれているのです。世界に目を向けると、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘という大規模な“戦争”が各地で起きていて、罪のない大勢の市民が犠牲になっています。
ミャンマー情勢に関する報道は少なくなり、「忘れられた戦場」とも言われていますが、この国で起きている現実から決して目を背けてはならないと強く感じます。
バンコク支局 取材:村橋 佑一郎 撮影: 代田直章