「軍に復讐」家族奪われた10代の若者も
「コンニチハ!」ふと日本語が聞こえた。メンバーの中には片言の日本語を話すことができる人もいて、私たちの緊張をほぐそうとしてくれた。
隊員たちは我先にとピックアップトラックの荷台に飛び乗る。カメラに向かってポーズをとったり、他のメンバーにちょっかいを出したり…まるで学生時代の部活動を思い出すような和気あいあいとした雰囲気が印象的だった。
ここで武器を手にする隊員の多くは、クーデター後に都市部などから逃れてきた10代や20代の若者だ。
カメラにあどけない表情を見せる19歳のソー・ター・エーさんもその1人。入隊した当時は、ゲームやスポーツが好きなごく普通の高校生だった。

19歳のソー・ター・エーさん:
「私たちは平和的に抗議したのに、軍は武器で攻撃しました。私たちも彼らのように武器を持って守る必要があります。ここに来たのは軍に復讐するためです。心を落ち着かせることができるのは、仲間と食事をしたり、わずかな睡眠をとったりする時間だけ」
ソーさんと一緒に抗議活動に参加していた多くの友人が警察に逮捕されたり、軍に拘束されたりした。 中には、拷問された人もいるという。
ソーさんは軍への復讐を誓い、戦うことを決意したが、家族は反対した。
深夜、家族が寝静まったすきに家を飛び出し、わずかな食料と着替えだけを持って、このキャンプにたどり着いたという。
現在は、部隊の連絡役を務めているが、早く前線に出られるよう銃の扱い方などの訓練を積んでいる。
一方、ソーさんと同じように高校生だったマウンさん(仮名)さんは、クーデター後に兄2人が軍に殺害された。平穏な日常は突然、奪われてしまった。
19歳のマウンさん(仮名):
「家族全員が軍に追われてしまい、もう生きていられなくてここに逃げ込みました。昔は幸せな日々でしたが、いまの私にもうその頃の笑顔はありません。最初に戦闘に参加して銃声を聞いたときは、不安と恐怖でいっぱいでしたが、いまはもう大丈夫です」
