解散命令請求でも“救済に壁” 教団の資産が散逸する可能性も

解散命令が請求されると、被害者救済に充てられるべき教団の財産はどうなるのか?

実は、今の法律では、解散命令が請求されても、裁判所の命令が確定しなければ財産は保全されない。その間に教団の資産が散逸してしまう可能性もあるのだ。

霊感商法詐欺事件で幹部が逮捕された明覚寺の場合、解散命令請求から裁判所で確定するまで約3年を要した。時間がかかれば、資産が流出し、被害者への賠償が難しくなる恐れもある。

2022年12月、この点を野党が国会で追及したが…

立憲民主党 柚木道義 衆院議員(衆院・文科委員会)
「例えば、教団が資産を韓国に隠した時に返金になっても、もう(資産)ありません。どういう対応をするのか?」

永岡文科大臣(当時)
「解散命令の請求が行われ、それが確定していない段階で財産の保全を求めることができる制度とすることは、宗教活動に対する過度の制限をかけることとなりかねない」

5月、弁護団は解散命令が請求された段階で、資産保全ができるよう特別措置法の成立を求める声明を出したが、実現していない。

紀藤弁護士は、このままでは被害者への賠償が不透明になるとして速やかな解散命令の請求と共に、法整備も必要だという。

紀藤正樹 弁護士
「解散命令請求をするにあたって、財産流出の危険がある場合は、これはその時点の財産を固定する、そうしたものを定める必要がありますね。とにかく早期に解散命令請求に当たっての財産保全の規定を国会・政府を挙げて作っていただきたいと思います」