トリミング中にハサミが喉に刺さり、愛犬のトイプードルが死んだことをめぐり、トリマーだった男性に対し、飼い主家族が慰謝料などの賠償を求めていた裁判の判決が、9月12日に大阪地裁で言い渡された。“家族”を突然失った飼い主の悲痛な思いと決意に、司法は十分に寄り添い、報いたのだろうか。

愛犬との光り輝く8年…幸せな日々を突如襲った“惨劇”

大阪府内の住むAさん(仮名)の自宅リビングの一角。トイプードルの写真やイラスト、ぬいぐるみなどが所狭しと並べられている。中心には大きな骨壺も置かれている。

Aさん
「もう3年なのかという思いと、まだ3年なのかという思いで非常に複雑なんですけれども、自分の子供という感覚がすごくするので、いまでも動画などを見ると涙ぐんだりするし…」
「かけがえのない、家族そのものでしたね」

2012年、生後5か月で購入したメスのトイプードル「ティファニー」。名前の由来は、妻から“プレゼントは宝石ではなく犬がいい”と言われたエピソードにちなんでだったとか。愛犬と共に歩んだ光り輝く幸せな日々は、8年後に突然終わりを告げた。

2020年5月、兵庫県宝塚市のペットサロンでトリミングをしてもらっている最中に、サロンを経営していたトリマーの男性のハサミが、ティファニーの喉に刺さったのである。

動物病院での3度の手術の甲斐なく、ティファニーは10日後にこの世を去った。喉の傷は長さ約3cm、深さ約2.3㎝に及び、食道の左右に穴が開いていたことが確認された。ハサミの刃は食道を貫通していたのである。