ペットが病気になったときに飼い主に生じる金銭的負担。ペットの治療費は高く、高額な費用の支払いが難しいというときに「クラウドファンディング」を使うという手があります。クラウドファンディングは、様々なやりたいことを実現するためにインターネットを使って少額を不特定多数から調達するというもので、病気のペットを支援する目的のクラウドファンディングサイトもあります。法的に問題ないはずの“ペットの治療に対するクラウドファンディング”ですが、SNSでの誹謗中傷に苦しむ飼い主がいます。

飼い猫が病気に…治療費は総額240万円

 関西に住む小林さん(仮名)。
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 一緒に住む猫・きゅんくんは、今年4月に1歳になりました。元々小柄でしたが、突然食欲がなくなり、足を引きずるようになったといいます。

 (小林さん・仮名)
 「FIPっていう診断が下りたのが2月の頭くらいですかね」
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 FIPとは猫伝染性腹膜炎という病気で、胃や肝臓を含む腹膜に炎症が起きて神経麻痺などの症状が現れるといいます。その原因とされるのはコロナウイルスです。

 コロナウイルスは、人に感染する「新型コロナウイルス」や「重症急性呼吸器症候群(SARS)」などがありますが、一方で猫だけに感染するコロナウイルス「猫コロナウイルス」も大きな脅威となっています。体内で突然変異を起こすとFIPを発症し、その致死率は100%に近いと言われています。
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 (小林さん・仮名)
 「これがFIPの薬。これが神経症状を改善する薬とかステロイドとか。全部合わせて1日だいたい1万4000円ちょっと。やっぱりものすごくお薬が高い」

 FIPの治療は、延命のための対症療法しかできず、治療には保険が適用されない海外製の高額な薬を投与する必要があるのです。

 (小林さん・仮名)
 「(Q100万円くらいしますよね?)そうですね。薬代だけでそれくらいはします」
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 小林さんの猫・きゅんくんの場合、FIPの進行を止めるために1日1万4000円分の薬を84日間以上投与し続ける必要があります。薬代だけで120万円近くかかり、治療費は総額240万円に上るといいます。

 (小林さん・仮名)
 「さすがに私だけの給料ではFIPの治療の薬を買うことは難しい。周りの方に相談したら『クラウドファンディングされている方もたくさんいるしやってみたらいいんじゃないかな?』と声を掛けていただいた」