猟奇的な筆箱は『男子あるある』でなく『不登校あるある』?!
2023年4月に出版された『学校に行かない君が教えてくれたこと』(オーバーラップ)というコミックエッセイがある。エッセイ漫画家の今じんこさんが、小学1年で不登校になった息子との実体験をマンガで綴っている。その中に『恐怖すら感じた荒れ筆箱』という描写がある。

無理して学校に通っていた息子の筆箱が『ズタズタでセロテープで補修まみれ』で、中は『折られ、噛まれ、削れていない極短鉛筆』『みじん切りの消しゴム』など、猟奇的な荒れ方をしていたという。
今じんこさんは当時、『男子あるある』なのかなと思ったそうだが、石井さんは『不登校あるある』だと解説する。
「現物を見たらぞっとするような筆箱だったと思います。物に当たるのは典型的なSOSサインです。それが例えば、ペットに当たるとか、兄弟に当たるなどのこともあります。ほっとくと対人の暴力にも発展しかねません。子どもにとっては、心の闇を出さざるをえない状況なんです」
石井さんによると、物に当たる以外にも、子どもには様々なストレスサインがあるという。

●体調不良
●食欲不振
●情緒不安定
●宿題が手につかない
●夜更かし(スマホ・ゲーム)など
ーー夜更かしもストレスサインなのですか?
「朝までゲームをして、朝方に寝るだと、親は怒りたくなりますよね。だけど、そこに不安があることが、往々にしてあります。
前提として、ほとんどの子どもは、自分が苦しんでることを親に知られたくないです。心配かけたくないですとか、恥ずかしいと感じています。なので、隠そうとして、不安で不安で眠れなくて、ゲームやスマホをしていることがあるのです。ですので、夜更かしじゃなくて、実は不眠なんです」
ーー新学期直後に、特に気をつけるべきサインはありますか?
「休み明けに気をつけていただきたいのは、宿題が手につかないことです。宿題をしないのはよくあることと感じられるかもしれませんが、1行も書けない、名前を書くこともできないような状況です。
何が起きているかというと、宿題をする前にいろんなことを考えて、怠けてやりたくないではなく、やろうと思ってもできない状況に陥っている可能性があるんです」
子どもの表面的な様子だけでなく、子どもの内面に目を向ける必要があるようだ。改めて、子どものSOSに気づくことの難しさを感じる。また、気づけたとしても、学校を休ませるかどうかの判断はどのようにしたらいいのだろうか。