■値上げでも売れ行きが変わらないのは、玉ねぎや油 共通点は?

ーー値上げしても売れている商品を教えてください

秋葉社長:たとえば、たまねぎですね。あとサラダ油
たまねぎは平年、4個入りで158円ですが現在、3個入りで298円。1個抜いたうえに、約2倍の値上げです。

サラダ油(1リットル)は1年前は250円前後ですが、現在398円。去年からすでに5回の値上げです。この回数について、業界が長い秋葉社長も「歴史的な値上げではないか」と話していました。

それでも売れるこれらに共通する理由は・・・

秋葉社長:
基本的に代替がきかないもの、料理を作るうえで必要不可欠な食材ということでしょうね。たまねぎがないとカレーは成立しないし、油がなければ炒め物も揚げ物もできないですから。価格が高くてもやむを得ず買うしかない。


また、個人の好みがはっきりとしているチーズなども売れ行きは落ちてないといいます。お気に入りの商品が値上げされても、安い商品に流れる客は少ないようです。

■一方、値上げで売れなくなったのは輸入牛肉、カップ麺、果物、菓子

秋葉社長:
アメリカンビーフなどの輸入肉。果物やカップラーメンやスナック菓子です。


理由は2つにわかれるといいます。

1つ目は「代替がきく」ということ。

秋葉社長:売り場を見てもらうとすごくわかりやすいと思うんですけど、アメリカ産の肉がこれしかなくて国産がすごく増えてますよね。輸入肉は売れ行きが落ちて、その分代替として国産の肉が伸びている状況です。
輸入肉は原産国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、加工工場の人手が不足したことや円安の影響で価格が高騰しています。1年前は148円(100g)でしたが、現在は199円です。一方、国産の肉は高いイメージがありますが、いまや輸入肉と変わらない値段で購入できるということで売れ行きが伸びています。

2つ目は「一時的に我慢ができる」もの。
たとえば果物
ネーブルオレンジは平年298円のものが現在398円に、アメリカンチェリーは平年398円ですが、現在480円といずれも約100円値上げされています。
このほかカップラーメン、スナック菓子など、今食べなくても困らないものについては節約する客が増えたといいます。

■ガソリン、電気、包装費・・販売経費の上昇で崖っぷち

仕入れに使うトラックの燃料であるガソリンや電気代の高騰。また原油高による袋代やトレー代の価格上昇。販売経費と呼ばれるものを含め、値上がりするものは無数です。

秋葉社長:今回のこの値上がりの波というのはとにかくすごい。品目もすごければ金額、値上げ幅もすごいです。私たちも厳しい、消費者も含めみんな厳しい。いつ終わりがくるのか・・・

30年近く生鮮業界に携わる秋葉社長が”異常事態”と話す昨今の値上げラッシュ。
お客様目線を大事にする社長は値上げとどう戦うのか、今後も追っていきます。

※商品の値段は、取材日 5月27日の税抜きの本体価格

報道局経済部 外食担当 根本理沙