■「5000万円の利益がほぼゼロに・・・・このまま行くとまずい」

東京都練馬区にあるスーパーマーケット「アキダイ」。いつ取材にきても笑顔で対応してくださる秋葉弘道社長ですが、この日、社長の顔は曇っていました。そのワケは・・・。

秋葉社長:
今ここにある商品の多くが値上がりし、本格的な値上げがいよいよ始まった。コロナ禍まえは年間5000万円あった店の利益は、今ではほぼゼロになってしまい、このまま行くとまずいですね。


社長を悩ませるのは止まらない値上げラッシュです。

■年内、値上げする食品は1万品目以上

6月以降、たとえば家庭用の小麦粉について「日清製粉ウェルナ」は最大6%、「ニップン」は最大13%値上げ。カップ麺では「日清食品」や『マルちゃん』ブランドの「東洋水産」で最大12%の値上げ。そのほか「永谷園」のお茶漬けや「森永乳業」の家庭用アイスなど、食卓に身近な食品の数々が値上げされます。

原因は原材料価格の高騰や物流費、資材費などの高騰、円安の影響など様々。
この勢いは止まらず、夏から秋口以降は冷凍食品や飲料を中心に値上げされる見通しです。

※帝国データバンクによる食品主要105社への調査

■価格転嫁は半分ほど「店の利益かお客様目線か、板挟みに・・・」

仕入れ値が上がった商品の販売価格は全て値上げしているのかと思っていましたが、実は価格転嫁している商品は半数ほど。店の負担は大きいものでした。

秋葉社長:
客離れの懸念が理由です。価格を据え置いているのは、日販品と呼ばれるもの。お豆腐、納豆、牛乳、もやしなどはお客さん目線の値付けになってしまう。


たとえば、円安や原油高の影響で仕入れ値が高騰しているフィリピン産のバナナ。客から人気だということもあり、アキダイでは10年にわたり販売価格を変えていません。しかしその分の赤字は1店舗あたり年間300万円だといいます。

客目線はほかにも、週に1回の「特売日」です。値上げが続く中、少しでも安く売って喜んでもらいたいと実施しますが、その日に客が集中するようになり店の利益が落ちているといいます。

店側は、客離れと利益の間で難しい値付けが続きます。一方、消費者側では家計が圧迫されるなか、“買うモノ” “買わないモノ”と商品を選ぶ目が厳しくなってきています。