ただ、より自然な見た目の人毛ウイッグは、一般的に数十万円と高価な上、ウィッグのカットに対応する美容室はごくわずかです。

そこで野中さんは去年、会社を設立。各地の美容室と提携し、人毛ウィッグを一人一人に合わせカットして提供するサービスを始めました。

調達するウィッグをロングヘア1種類に絞るなどコストを抑え、カット代込で3万~4万円という手頃な価格を実現。東京から始めた活動は、ふるさと愛媛にも広がっています。

KINEMA代表取締役・井門竜也さん
「美容師をやっていて、治療によって髪が抜ける悩みは聞くんですけど、お手伝いすることが何もできなくて仕事しながら、無力感をずっと抱いていた。ヘアデザインから治療に対するポジティブな後押しになればと思うので」

野中さんは、自身の経験から生まれたこのウイッグが患者の不安をやわらげ、前向きに生きるきっかけになればと願います。

SUMIKIL代表・野中美紀さん
「髪の毛が無くなるのが嫌だから抗がん剤を避けるとか、胸を無くすのが嫌だから部分切除で終えてしまって再発してしまうことも少なからずあるので、まずは治療に、生きるっていうところからブレずに選択をしてもらいたい」