危険運転致死と酒気帯び運転の罪に対し、下された判決は懲役9年。
両親が求めた法定刑の上限23年には程遠い判決に「大喜の命は被告の9年分なのか。これでは飲酒運転はなくならない」と肩を落とした。
両親執念の「ひき逃げ」起訴
「ひき逃げ不起訴」を不服として、大喜さんの両親は2021年10月に検察審査会に申立てをおこなった。検察審査会は「ひき逃げ」について「起訴相当」との議決を出した。
鹿児島地検は再捜査した末、男を「ひき逃げ」の罪でも起訴。再び裁判が開かれることになった。

2度目の裁判で被告が語ったこと
「息子は車にはねられ約150m先に倒れていた。衝突したあとのことが知りたい。車に乗りあげて振るい落とされたのか?車に引きずられたのか?どのような状況で息を引き取ったのか?そのすべてを知らないと息子の死を受け入れ前に進むことができない。被告には隠さずに法廷で全てを語って欲しい」
被告の口から新たな事実が明らかにされるのではないか。両親は2度目の裁判に臨んだ。
「説明できるのはあなただけです。なぜ救護しなかったのですか」
「間違いありません」 裁判冒頭でひき逃げの起訴内容について認めた男。大喜さんに衝突したあと、警察が臨場するまでの約20分間、宮崎さんを救護することなく、車内にとどまり続けた状況も明らかになった。
その間、携帯電話で両親に「飲酒運転で事故を起こした。迷惑をかけるので籍を外して欲しい」と電話をしている。また車に取り付けてあったドライブレコーダーを外して助手席のドアポケットに入れたり、自暴自棄になってフロントガラスを自らの拳で叩いて割るなどしていた。
こうした事故当時の状況を話す一方、検察の核心部分の質問に対して急に歯切れが悪くなる。