「私たちがしていることはプーチンから兵士を盗んでいる」
国外に脱出する術も伝も持たない人は多い。そんなロシア人のため、徴兵や動員を逃れたい人をサポートする団体もある。ジョージアに本部を持つNGO『イジチェ・ソレム』はそのひとつだ。

NGO『イジチェ・ソレム』避難支援マネージャー ダリヤ・ベルグさん
「相談者に航空券を買ってあげて安全な国へと連れていく。国内に残ることを望む場合は前線に送り込まれないために、避難先や一時的に身を隠せる場所を探すのを手伝っている。(中略)時には既に招集され、送り込まれた前線から私たちに手紙を書いてくる人もいる」
団体への相談は去年10月の“部分動員”直後をピークに下火になった。しかし、ロシアでは法律が改正され、今年10月から国外への移動が制限されることになり再び相談件数は増え始めたという。
朝日新聞 駒木明義 論説委員
「これまで召集令状は手渡さないと有効じゃなかった。それをオンラインにしてリストに載せれば有効。空港に行くと(名前がリストにあれば)出国出来ません、と。しかも徴兵年齢が今は18から27までなんですが、これを21から30に引き上げる法案があったんですが、途中で修正されて、下限は変えないで18から30と非常に幅が広くなった。やはりプーチン大統領あるいは国防省が戦争の長期化をにらんで徴兵の枠を広げた…対象年齢の人にとっては危機感しかない。今、出ておかないと間に合わなくなると…」
ダリヤ・ベルグさんは徴兵や動員を拒む人を支援することは、大きな意味があると考えている。
NGO『イジチェ・ソレム』避難支援マネージャー ダリヤ・ベルグさん
「第一の犠牲者はウクライナ国民で、この戦争を止めさせるために出来る限りのことをやらねばならない。(動員を妨害し)プーチンの兵士が少なくなるほど戦争の継続が難しくなると私は考える。私たちがしていることはプーチンから兵士を盗んでいるの…」
神戸学院大学 岡部芳彦教授
「戦争が始まった時、ロシアでも反戦デモが起こったんですが、すぐに終息してしまう。ロシアは国内で反対運動するのはとても危険、すべてを失うかもしれない。そんな中、プーチンから兵士を盗むっていうのはインパクトがある言葉。一種の戦争に対するサボタージュ。新しい方法だなって、発見でした」