「頑張って」→「頑張ってるね」大切なのはプロセスを褒めること

ーー子どもの状況に合わせての声かけ、難しそうです。具体的に、どんなものになるのでしょうか?

「ポイントは、“プロセス”をどう褒めてあげられるかってことなんです。子どもが自分なりにやってきたことを『頑張ってるね』『すごいじゃん』って言ってもらえると、大きな自信につながるんです」

ーー「頑張って」ではなく「頑張ってるね」ですか?

「表現は似てますが、『頑張って』は、ここから先に向けた声かけになっているわけです。でも『頑張ってるね』は、ここまでのプロセスを褒めています。

なぜプロセスを褒めることが自信につながるかというと、子どもは、自分で自分の評価をすることは難しいからです。だから、保護者に自分のやってきたプロセスを認めてもらえると、自分のしていることが間違ってないんだと評価することができるんです。これが自信につながり、なおさらやる気が出るわけです」

ーー子どもが頑張ってる部分を見つけて、認めてあげることが、実は未来の意欲に繋がっていくんですね…。でも、どう観察しても、ずっとダラダラしているケースもありそうです。

「前向きに取り組もうという気持ちになれないケースには、学習性無力感の可能性があります。

頑張っていたにもかかわらず、それを認めてもらえない経験が重なると、こんなにやっても駄目なのかと、無力感に陥ってしまいます。これが1回発生してしまうと、なかなかその後アクティブに取り組むことができなくなってしまうんですね」

子どもが意欲を持てないでいるのは、子ども自身というよりも、過去の周囲とのやり取りが一因になっている可能性があるというわけだ。

出口さんは犯罪心理学者として、約1万人の犯罪者・非行少年を心理分析し、更生を支援してきた。意欲を持てないでいる子どもたちの可能性を伸ばすために、一体どんなことをしてきたのだろうか?