廃部寸前…“絶滅の危機”
長崎大学落語研究会は毎年6月と12月の2回『やわた寄席』という定期公演を行ってきました。夏は “新入生歓迎” 冬は“卒業生追い出し”と銘打って行われます。
ところが2020年からの3年間は、コロナ禍の影響で開催を見送ったり、オンライン配信するなどしてきました。
去年12月には、ようやくリアルでの寄席開催をすることができましたが、部員は減り、わずか3人に。
卒業生1人を送り出した後も 部員が増えることはなく、今月9日、96回目となる定期公演を現役部員2人で開催することになりました。
出演者も裏方も手が足りず、OBとなった社会人や、九州大学の落語研究会の学生らの助けを受けて開かれました。

寄席の冒頭に行われた口上の中で51代目会長の麗し亭千春さん(2年生)は、寄席開催への御礼を述べたあと「通常、夏寄席は“新入生紹介”となるはずだが、紹介すべき新入生が一人もいない。長い伝統の灯を絶やすまいと努力したが、このような結果になり、正直悔しい。何度も心が折れそうになった。寄席開催までの道のりは本当に長かった。
でも、きょうここに来ていただいた皆様の顔を見ると諦めないでよかったと、今、しみじみと感じております」と苦しい胸の内を語りました。

今回の寄席には、鶴屋わく珍さん(3年生扱い)が「コント」と「二人癖」、千春さんが「お見立て」を披露。
OBとして長楽亭凡五(24代)、長楽亭陽楽(37代)、九州大学落語研究会から六松亭丘陽(おかぴ)さんと柊(ひいらぎ)さん=いずれも2年生が出演しました。

新型コロナがサークル活動にも影を落とす
長崎大学 落語研究会は1973年創立で今年50年。200人近くの卒業生がいます。
時代によって増減はあったものの、2011年頃には1学年に10人、全部員が30人を超える時期もあり、プロの噺家も輩出するなど、学内でも長く続いているサークルの一つです。
ところが2020年からは、新型コロナ感染拡大防止のため サークル活動は制限されます。
観客を入れた定期寄席や部員が集まっての稽古会も実施できないなど、活動縮小を余儀なくされ、急速に部員数が減少。2022年度はわずかに3人に。
年度末には4年生一人が卒業し、さらに当時2年生の鶴屋わく珍さんも「別の道を目指す」として大学を中退。その後も「落研存続のため」在籍はしているものの、2023年7月現在、現役の長大生としては2年生の麗し亭千春さん、ただ一人となってしまいました。