接し方を変えると、子どもの「宝物」になる一言が生まれる 

ーー子どもの気持ちに寄り添った声かけが重要なんですね。寄り添う…言葉ではわかっていても、どう実践すればいいか悩む人もいるように思います。

「子どもは自分の気持ちのわずかしか言葉にできていません。ですので、大人が子どもの行動を観察することが大切なんです。なんとなく子どもと接しているのではなく、いまこの子は何を考えているのかな、どういう状況なのかなって、常に観察する感覚を持つと、その都度、子どもに寄り添った声がけができるようになります。

少年院の先生はこれがとても上手です。先生たちは非行少年を相手に、絶妙なタイミングで子どもが求める一言をかけて、その言葉が、その子にとって一生の宝物になったりするんです。それは神業でも何でもありません。先生たちは子どもたちの様子を常に観察し、どんな気持ちなんだろうと考えながら見ているからできるんです」

子どもの個性を伸ばす褒め方 短所を長所に切り替えよう

ーー慣れていないと、褒め方がよくわからない、と感じる方もいると思います…。コツはありますか?

「子どもを叱るときは、その子の短所を叱るものです。その子を伸ばしたいんだったら、同じことを長所として褒めてみてください。

長所と短所は違うものではありません。その子らしさを、ネガティブにみれば短所になるし、ポジティブにみれば長所になるんです。

例えば、犯罪者は短絡的で、思いつきを行動に移してしまって失敗する、とよく言われます。これは短所としてみているときの言い方です。これを長所としてみると、とりあえず一歩を踏み出せる、積極的な人間であると言い変えられます。

私たちは、失敗した原因を短所で分析する。でもその後、今度は次の成功に繋げるときは、それを長所として伸ばしてあげるようにしています。

人はそんなに変わりません。ですので、評価する私達の側の感覚を変えるんです。短所と長所の付け替えを、親がうまくしてあげたら、子どもはすごく嬉しいし、伸びるんです」

ーー自己肯定感を高めるとは、その子らしさを認めて、声をかけてあげる、ということなんでね…。謙遜の文化の影響もあるのかもしれませんが、思ってはいても、口にするのが苦手な人も多いかもしれませんね…。

「ぜひ、意識して声に出すようにしてください。それは、子どもに対する大人の気持ちについてもそうです。

『そのままのあなたが大切』だとか『あなたが元気でいてくれるだけで嬉しい』ですとか、ちゃんと言葉にして子どもに伝えることがすごく大事です。本当に短い言葉、5秒もかからない言葉です。でもそれが、子どもにとっては、すごく重要なことなんです」

(6月11日放送・配信『SHARE』より)
※1 内閣府「我が国と諸外国の若者意識に関する調査」(平成30年度)