■船底には“3か所の穴”も… 乗客の家族「船を見たい」と要望
北海道知床沖の海底に沈んだKAZU I。24日には、えい航中に船を支えていたベルトが切れて、水深182メートルの海底に落下。26日朝から船をつり上げる作業が再び始まりました。
船体にかけたベルトと引き揚げるためのフレームを結ぶ作業を行い、午後3時ごろにつり上げを開始。船は午後7時前につり上げられ、約4時間かけて水深の浅いウトロ漁港沖へ移動を始めました。
前回は水中につった状態で移動して落下したKAZU I。
今回は船の一部が海面の上に出る状態までつり上げてから移動させています。これは“横抱き”と呼ばれるもので作業船の左側に固定してから、えい航する方法です。
水難学会 安倍淳副会長
「船体自体が強力な証拠物件ということになりますので、(前回は)慎重に運ぶ手立てとして、水中のえい航という方法がとられた。ただ、落下してしまったので、今度は回収を優先に考えるという作業手順だったのかなと思う」

午後10時ごろ、撮影した作業船とKAZU Iの映像。作業船の上まで、KAZU Iを引き揚げる作業が行われています。
乗客の家族は「引き揚げられた船を見たい」と要望しているということです。
KAZU Iの左側の船底には3か所の穴が見つかっているといいます。
14人が死亡、いまだ12人が行方不明となっている沈没事故はなぜ起きたのか。海上保安庁などは落下前の映像と比べるなどして陸揚げしたKAZU Iの状態を確認し、事故原因の究明にあたります。
水難学会 安倍淳副会長
「特に沈没にいたった原因となるような、ひび割れや、ガラスの割れであったり、エンジンが止まったのか止まらなかったのか、起きた順序を明らかにしていくと思います」
KAZU Iは27日早朝にも作業船に引き揚げられる見通しで、その後、網走港に移動し数日かけて水を抜いた後に陸揚げされます。