
益田慎医師
「コミュニケーションがない中、言葉だけでやりとりをしているわけです」

― 言語だけ?
「ただ、それは中身がないんです。コミュニケーションがとれたところで、言葉でのやりとりをしないと、“使える言葉” にならない。言葉のやりとりだけで表面的に理解をすることと、中身を伴って理解をして、さらに使えるようになるのには差がある。そこが今、立ち遅れてるいるのではないか。われわれが考えるときは頭の中でしゃべっていますよね? 逆に言うと、しゃべれないと頭で考えられないんですよ」

一概に「言葉」といっても日常生活でやりとりするための言葉は「生活言語」と呼ばれます。そこから発達して、抽象的なことを説明したり、学校での勉強に使われる言葉は「学習言語」です。

「生活言語」がしっかりと中身のある、使えるものになっていないと「学習言語」の土台がないということになります。

県立広島病院 小児感覚器科 益田慎医師
「生活言語、表面上のやりとりがすんだら、できたとつい思っちゃうんですけど。基盤となる生活言語に中身がないまま育っていくある一世代ができていて、その子たちが小学校3・4年生になったときにこの子たちの学習言語がどうなるんだろうと。そこは今、わからない。すごく心配しています」
― 益田医師は、「いますぐマスクを外すべき」とは思っていなくて、むしろ、感染者が高止まりしている広島では、大人が室内で会話するときに外すわけにはいかないとも考えています。では、どうするのか?

益田医師の提言
▽ ジェスチャー付きで伝える
▽ リズム体操・リトミック・手遊び歌に集団で取り組む機会を増やす
▽ 家庭ではマスクなしで意識して表情を見せて伝える